ナポ県のキチュアの人が管理するチャクラのカカオ畑 木漏れ日が差すナポ県のチャクラのカカオと樹木 ナポ県のチャクラで育つグアユサ ナポ県のチャクラで育つ桃椰子

CACAO & AGROFORESTRY

カカオのアグロフォレストリーとは。エクアドルのチャクラ農法との違い

モノカルチャーとの違い/アマゾンチャクラ/作物と暮らし

カカオのアグロフォレストリーは、カカオだけを植えるのではなく、果樹や樹木、食べられる植物とともに育てる考え方です。ただし、同じ「森林農法」でも、植え方・管理・農家の暮らしとの結びつきは地域ごとに異なります。エクアドル・アマゾンでカカオを買い付けてきたママノが、一般的なアグロフォレストリー、アマゾンチャクラ、原料を選ぶときの確認点を分けて紹介します。

カカオのアグロフォレストリーとは

アグロフォレストリーは、農地に樹木を取り入れ、複数の作物や植物を組み合わせて育てる方法の総称です。カカオの場合は、カカオの上に日陰をつくる樹木があり、その間に果樹、薬用植物、主食になる植物などが育つ形があります。

大切なのは、木があることだけではありません。どんな植物を、誰が、何のために残し、収穫し、植え替えているかによって、その農地の意味は変わります。森に見えるからアグロフォレストリー、という単純な判断はできません。

モノカルチャーとの違い

モノカルチャー

特定の作物を同じ方法で大きく栽培する形です。収穫や管理を標準化しやすい一方、畑の外にある食べものや植物の多様性とは切り離されやすくなります。

アグロフォレストリー

カカオと樹木、果樹などを組み合わせます。日陰、土壌、食べもの、現金収入などを一つの区画の中で考えるため、単一作物だけを増やす設計とは目的が異なります。

エクアドル沿岸地域に広がるカカオの単一栽培の畑
エクアドル沿岸地域のカカオ単一栽培。写真から農園の良し悪しや個々の生産者の取り組みを決めつけるのではなく、植栽の違いを見比べるための一例です。

ただし、アグロフォレストリーを環境面だけの言葉として扱うと、実際の農家の暮らしが抜け落ちます。ママノがカカオを仕入れるナポ州では、カカオはチョコレート原料である前に、家族の食べもの、生活の知恵、現金収入とつながる作物です。

アグロフォレストリーに、唯一の形はない

同じエクアドルでも、地域や販売先が変われば、木の組み合わせと農地の役割は変わります。沿岸地域には、市場へ販売する果樹とカカオを組み合わせたアグロフォレストリーがあります。これはアマゾンチャクラではありません。チャクラを「木が多いカカオ畑」の別名にせず、地域の知識、暮らし、作物の組み合わせまで見て区別する必要があります。

エクアドル沿岸地域で市場向けに栽培される果樹とカカオのアグロフォレストリー
エクアドル沿岸地域の果樹とカカオが育つアグロフォレストリー
エクアドル沿岸地域の果樹とカカオを組み合わせたアグロフォレストリーを歩く人々

エクアドル沿岸地域の、果樹とカカオを組み合わせて市場へ販売するためのアグロフォレストリーの例。

アマゾンチャクラは、一般的な農法名だけでは説明しきれない

アマゾンチャクラは、エクアドル・アマゾンの先住民キチュアの暮らしと結びついた複合的な農のあり方です。カカオ、バナナ、ユカなどの食べもの、果樹、木材や薬用に使われる植物が同じ場所にあり、家族が食べるものと販売するものを育てます。

講義や現地で紹介するとき、ママノでは「1ヘクタールの中に100種を超える植物が育つこともある」と伝えています。すべての区画が同じ植物構成ではありませんが、単一のカカオ畑とは異なる多様さを実際に見ることができます。

そのため、アマゾンチャクラのページでは、アグロフォレストリーの一般論ではなく、先住民の暮らしや植物の多様性を中心に説明しています。チャクラ認証は、さらに別の認証制度のページです。

チャクラに育つ作物

チャクラには、カカオだけでなく、家族で食べるもの、日々使うもの、販売するものが同じ場所に育ちます。下の写真は、ナポ県のチャクラで見られる作物の一部です。どの区画にも同じ作物がそろうわけではなく、家族や土地、季節によって組み合わせは変わります。

ナポ県のチャクラで育つグアユサ
グアユサ
ナポ県のチャクラで育つタバコ
タバコ
ナポ県のチャクラで育つジャングルピーナッツ
ジャングルピーナッツ
エクアドルのアマゾンで育つマカンボ
マカンボ
ナポ県のチャクラで育つパイナップル
パイナップル
ナポ県のチャクラで育つレモングラス
レモングラス
ナポ県のチャクラで育つ青バナナ
青バナナ
ナポ県のチャクラで育つ桃椰子
桃椰子

動画で見るアグロフォレストリー

写真では伝わりにくい、植物の重なりや現地の空気感は動画でも紹介しています。

農法だけでカカオの品質は決まらない

アグロフォレストリーで育ったことは、原料の背景を知るうえで重要です。しかし、チョコレートの香りや使いやすさは、栽培方法だけで決まりません。カカオの系統、収穫の状態、発酵、乾燥、選別、輸送、焙煎までを見て初めて、ロットの特徴を判断できます。

ママノはエクアドルでカカオを買い付け、発酵乾燥と品質管理を続けています。たとえば収穫から集荷までを最大1日とし、木箱での発酵と途中の混ぜ返しを行うことで、ロットごとの状態を揃えます。詳しい工程はカカオからチョコレートができるまでで紹介しています。

木箱で発酵させるカカオ豆
農法の背景と、発酵・乾燥の管理の両方を確認して、原料の特徴を見ます。

業務用原料を選ぶときの確認点

業務用のカカオ豆やチョコレートを選ぶときは、「アグロフォレストリー産」という言葉だけで判断せず、次のような点を確認することをおすすめします。

  • どの地域、どの生産者組織の原料か
  • カカオの系統やロットの情報を確認できるか
  • 発酵・乾燥・選別をどのように管理しているか
  • 必要な用途に合う香り、形状、供給量か
  • 原料の背景を、メニューや商品づくりに活かせるか

ママノでは、エクアドル・ナポ州の先住民キチュアで構成されるWINAK組合と直接取引し、カカオの背景と品質の両方を確認しています。菓子、飲食、食品製造での用途や、必要なサンプルについては個別にご相談ください。

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アマゾンチャクラ農法

森林伐採、気候変動の救世主と注目されるアマゾンチャクラとは、伝統的なアグロフォレストリー(森林農業)です。エクアドル・ナポ県の先住民キチュア族が1ヘクタールに100種以上の植物を栽培しています。2023年に国連食糧農業機関(FAO)より世界農業遺産に認定。

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