前は農業がそんなに好きではありませんでした。でも、やってみたらすごく美しいものだと感じました。今は、両親のように農業を続けていきたいです。
エブリンさん(第1期)
エクアドル・アマゾンの若者31名が、初めて自分のチャクラを持ち、カカオを育てています。
親から譲り受けた0.5haに、313本のカカオ。
2026年は、さらに1人200本を植え足す。
みんなで育てるカカオの森プロジェクトとは、横浜のチョコレートブランドVANILLABEANS(チョコレートデザイン株式会社)が資金を出し、エクアドル・アマゾンのナポ州でウィニャック組合の若者31名が、親から譲り受けた0.5haの土地に初めて自分のチャクラ(伝統的なアグロフォレストリー農園)をつくり、カカオを育てる共同プロジェクトです。現地では「Mi Primera Chakra(私の初めてのチャクラ)」と呼ばれ、2024年に始まりました。
参加する若者
31名第1期10名・第2期21名。うち女性22名
配ったカカオの苗
10,503本2024年8月〜2026年8月
苗の生存率
97.5%2026年7月。9,703本中9,460本
初めてついた実
163個2026年7月。第1期10人中6人の畑
2026年の配布が終わると
31名の畑に 15,903本のカカオ
2026年は、31名の畑に1人200本を目安に計6,200本を追加する計画です。追加分は、区画を広げたり、区画の空いている場所に植えたりしています。8月に最初の800本を5名へ届け、苗床で育てている苗(8月時点で5,370本)を順に配っています。配り終えると、2024年からの苗は計画で15,903本になります。

ナポ州のキチュアの村では、若者がコミュニティを離れ、首都へ移ったり採掘の仕事に就いたりしています。チャクラからの現金収入では家族を養えないと考えられているためです。ウィニャック組合の代表ネルソンさんは、プロジェクトのきっかけを「若者たちが自分たちの土地を離れ始めたこと」だと話しています。
ナポ州では、森を切り崩して土を掘り起こす違法採掘の現場を道沿いから見ることができ、軍に押収された採掘用の重機が100台以上並んでいる場所もあります。若者が村を離れることは、森とともに暮らすキチュアの知恵の担い手が減ることでもあります。
良いカカオを育てても、買い手が見つからなければ仲買人に安く売るしかありません。このプロジェクトでは、育ったカカオの売り先を最初に決めてから、若者にカカオ栽培を始めてもらいました。参加者は女性の参加を重視して選び、31名のうち22名が女性です。
プロジェクトは、土地、苗、研修、記録、販売の順につながっています。

参加する若者は、ウィニャック組合に加盟する親の土地から0.5haを譲り受けます。キチュアの家族では親が土地と農作業を取り仕切り、若者は手伝いに回ることが多いため、自分の区画を持つこと自体が初めての経験です。参加者は、親が組合で活発に活動していることと、本人がチャクラで働きたいと望んでいることを基準に選びました。

2024年5月6日、第1期の若者10名とウィニャック組合は覚書を交わしました。支援を受けて育ったカカオを、優先的にウィニャック組合(VANILLABEANS向け)に販売するという内容で、書類には親も名前を記しています。

種は、風味の評価と収量が高いアリバカカオの木を持つ組合員からカカオポッド(カカオの実)を買い、その中の種を使います。サンディエゴ集荷センターの苗床で育て、約4か月、高さ80cmほどになったら配ります。

1人313本を、150本と163本の2回に分けて配ります。チャクラではユカや青バナナ、パイナップルなどもカカオと一緒に植えるため、0.5haに313本が、チャクラを保ちながら収量を最大にできる本数です。2026年は、さらに1人200本を目安に植え足しています。区画を広げたり、区画の空いている場所に植えたりして増やしています。植える前には、その土地が原生林か二次林か、以前のチャクラか牧草地かを調べ、一緒に植える植物を決めます。車の入る場所から畑まで、ぬかるんだ山道を1時間歩いて苗を運ぶこともあります。

品種、剪定、病害虫の有機的な対策、土づくり、接ぎ木を、専門の講師から畑で学びます。ほとんどの若者にとって初めての研修です。参加者どうしがお互いの畑を訪ねることで、家族や友人にも技術が広がっています。

植えてから3〜4か月ごとに、各区画の313本から10本を無作為に選び、巻尺で樹高を、ノギスで幹の太さを測ります。枯れた苗はその都度植え直します。区画はGPSで測量して地図にしています。ウィニャック組合は、EUの森林破壊防止規則(EUDR)に対応して、森林破壊に関係しないカカオであることを区画の位置情報で示しています。2026年には若者31名の区画も測り、組合の生産者グループに加えて追跡できる形にしました。区画の図面は有機認証で使うものと同じです。現地責任者のシャキーラさんが記録をまとめ、VANILLABEANS、ウィニャック組合、ママノのオンライン報告会で共有します。

収穫したカカオはVANILLABEANSがチョコレートにします。プロジェクトの費用は、VANILLABEANSのプロジェクト対象商品の売上の一部でまかなっています。対象商品を買ったお客さんも、このプロジェクトの参加者です。
2024年に第1期の10名、2025年に第2期の21名が加わりました。参加したときの年齢は17〜27歳で、31名のうち22名が女性です。学校や仕事と両立しながら、自分のチャクラを育てています。
バネッサ、エブリン、ジミー、ジョフレ、ニャンビラ、ロナル、ケイラ、シンディ、シェイラ、サニ
ケビン、ヒセラ、ジョセリン、ヤシラ、ハリー、ミシェル、レディ、カレン、キャサリン、タニア、クリスティアン、コニー、セイナ、ジョニー、エブリン、ジャイル、ブリジット、エリザベス、カテリン、ウベ、ケリー
2010年にナポ州アルチドナで設立された先住民キチュアの生産者組合です。会員は250名(うち女性66%)、有機認証を受けた生産者は450名。ナポ、パスタサ、オレリャナの3州で60の集落とつながり、チャクラでの生産地975.40ha、保全地3,043.65haを持っています。ママノチョコレートとは、世界で初めてチャクラのロゴ認証を受けた組織どうしです。
このプロジェクトでは、植物の生態に詳しいシャキーラさんがフルタイムの現地責任者を務め、代表のネルソンさん、ビジネス部門のエンリケさんが支えています。2026年には第2期のジョニーさんが組合のスタッフになりました。
第1期は、ナポ州の5つの集落に住む10名(男性3名・女性7名)です。苗床づくりから始め、10月までに1人313本を配り終えました。

サンディエゴ集荷センターを片づけ、10m×15mの苗床を建てました(最大8,000株)。4月から6月にかけて、組合員の木から採ったカカオポッド155個、種4,655粒をまき、3,598本が育ちました。大雨と気候の変化で枯れた苗もありました。
第1期の10名と覚書を交わしました。

開始式「Mi Primera Chakra」を開き、90名が集まりました。日本からはVANILLABEANSのスタッフ2名、FAOの世界農業遺産委員会で委員長を務めた八木教授、ママノの江沢が参加し、ジミーさんのチャクラで苗を植えました。植える前には親と子が向かい合い、子が親の指を何度か引いて力を受け取ります。子がマチェテで土を掘って苗を植えると、親が葉で苗を軽くはたきながらキチュア語で言葉を唱え、強く育つよう願います。

研修を始め、長靴、作業着、リュック、剪定ばさみ、研ぎやすり、マチェテ、帽子を配りました。最初の研修は、有機カカオ栽培の入門、栽培管理、病害虫の管理、区画の位置記録の4テーマです。

1回目の配布。1人150本、計1,500本を届けました。
最初の畑の計測。1,500本のうち1,484本が根づき、平均樹高は32〜40cmでした。
2回目の配布。1人163本、計1,630本を届け、第1期の配布は3,130本になりました。
2回目の計測。1人あたりの生存率は95〜98%、平均樹高は46〜67cmでした。
| 播種日 | カカオポッド | 種 | 枯れた苗 | 育った苗 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年4月14日 | 22個 | 700粒 | 75本 | 625本 |
| 2024年4月19日 | 74個 | 2,030粒 | 325本 | 1,705本 |
| 2024年4月24日 | 39個 | 1,045粒 | 250本 | 795本 |
| 2024年4月26日 | 1個 | 30粒 | 25本 | 5本 |
| 2024年5月24日 | 4個 | 106粒 | 25本 | 81本 |
| 2024年6月12日 | 8個 | 400粒 | 181本 | 219本 |
| 2024年6月22日 | 7個 | 344粒 | 176本 | 168本 |
| 合計 | 155個 | 4,655粒 | 1,057本 | 3,598本 |
第2期は、10の集落に住む21名(男性6名・女性15名)です。第1期の畑の管理を続けながら、苗づくり、研修、配布を並行して進めました。
VANILLABEANSの支援で、野生カカオが自生する森のコミュニティに発酵乾燥センターを建てました。車の入らない遠い森で採れた少量のカカオも、その場で発酵・乾燥して保管できるようにするためです。
オンライン報告会で、第1期の3,130本のうち3,042本が育っていることを共有しました。

苗床づくりの共同作業(ミンガ)を3回行い、17名、23名、29名が参加しました。苗床では4,675本を育てました。

VANILLABEANSのスタッフ2名とママノの江沢が訪問しました。ワークショップで第2期の若者と期待を出し合い、翌日は一緒に植樹しました。
第2期21名の区画を選び、植生を調べました。21区画のうち10区画は森林のままの土地です。21区画をGPSで測量した面積は合計15.5haでした。
研修を6回開きました。栽培管理(27名)、土の栄養と持続性(23名。灰汁や微生物資材を自分たちで作る)、有機カカオの適正農業規範(35名)、栽培慣行(25名)、病害虫(28名。モニリア病、天狗巣病など)、チャクラモデルによる区画設計(65名)です。知識テストの平均点は64%から78%に上がりました。
オンライン交流会。VANILLABEANSから11名、現地の若者約8名が参加しました。若者からは、剪定と接ぎ木の研修を続けてほしい、他の地域のチャクラを見てみたい、カカオがチョコレートになるまでを知りたいという声が出ました。

第2期の1回目の配布。3,802本を届けました。
現地責任者のシャキーラさんが、国連気候変動会議の準備会合Pre-COP30でこのプロジェクトを発表しました。

第2期の2回目の配布。2,771本を届け、第2期の配布は21名×313本の6,573本になりました。同じ月、若者9名が225㎡の畑で落花生を育て始めました。
第1期の木は、1回目の計測で35cmだった平均樹高が124cmまで伸び、4分の3の株が3〜4本に枝分かれしました。
3年目は新しい参加者を増やさず、31名の畑の管理と研修、次の苗づくりに集中しています。
若者との対話会を開き、40名(うち若者25名)が参加しました。オンライン報告会では、区画の位置を記録したうえで、31名を「森林破壊のないカカオ」の生産者グループに入れたことが報告されました。

次の苗づくり。培土を詰めた袋は3回の作業で6,500袋になりました。

VANILLABEANSのスタッフとママノが訪問しました。苗床とケイラさんのチャクラを訪ね、2024年に植えた木に実がついているのを確かめました。13日の植樹式には、平日で学校のある若者も多いなか19名が参加しました。ウィニャック組合のスタッフになった第2期のジョニーさんが発表し、VANILLABEANSのチョコレート6〜7種をみんなで試食しました。その後、サニさんのチャクラで今年の苗を一緒に植えました。

成長と枯死の調査で31名全員の畑を回り、82名が参加しました。第1期の平均樹高は115.69cmで、剪定したため前年より少し下がりました。第2期は82.42cmです。第1期では10人中6人の畑で、49本の木に計163個の実がつき、153本に花が咲いていました。
研修1「カカオの農業管理」(16名)。26問の事前診断で弱点を確かめてから講義を行いました。接ぎ木に向く株を485本確認しました。

若者がミラグロ郡のカカオ組合UNOCACEを訪ね、組織づくり、世代交代、収穫後の処理、販売、品質基準、認証について学びました。

研修2「土壌の栄養」(23名)で、ボカシ肥料と生物由来の殺虫剤を作りました。苗床から選んだ800本を、第1期と第2期の5名に追加で配りました。苗床の5,370本も、年内に順に配ります。
オンライン報告会で、シェイラさんの畑で熟した実を初めて1個収穫したと報告がありました。
ほとんどの若者にとって初めての研修です。専門の講師が畑で教え、自分たちで資材を作り、ほかの組合も訪ねます。



| 時期 | 研修 | 内容 | 参加 |
|---|---|---|---|
| 2024年6月〜 | 第1期の研修 | 有機カカオ栽培の入門、栽培管理の実践、病害虫の管理、区画の位置記録(GPS) | 第1期の若者 |
| 2025年 | ① 栽培管理 | カカオの一生、育苗、植え付け、持続的な管理 | 27名 |
| 2025年 | ② 土の栄養と持続性 | 土の種類と質感を畑で確かめ、灰汁、生物由来の殺虫剤、山の微生物の3種類の資材を作る | 23名 |
| 2025年 | ③ 有機カカオの適正農業規範 | 有機栽培で守る作業の基準 | 35名 |
| 2025年 | ④ 栽培慣行 | 日々の管理作業 | 25名 |
| 2025年 | ⑤ 病害虫 | モニリア病、天狗巣病、黒果病などの見分け方と対処 | 28名 |
| 2025年 | ⑥ チャクラモデルによる区画設計 | カカオと一緒に植える作物や木の配置 | 65名 |
| 2026年4月 | 若者との対話会 | チャクラでの経験を語り合い、先輩のチャクラを見学 | 40名(若者25名) |
| 2026年7月 | 研修1 カカオの農業管理 | 26問の事前診断のあと、生理と生育、定植、開花と花芽の管理、持続可能性とチャクラ、接ぎ木などの無性繁殖 | 16名 |
| 2026年7月 | ほかの組合を訪ねる | ミラグロ郡のカカオ組合UNOCACEで、組織づくり、世代交代、収穫後の処理、販売、品質基準、認証を学ぶ | 若者 |
| 2026年8月 | 研修2 土壌の栄養 | ボカシ肥料と生物由来の殺虫剤を作る | 23名 |
| 2026年(予定) | 研修3・研修4 | 適正農業規範と病害虫、剪定と接ぎ木。各チャクラで接ぎ木を実習 | - |
2025年の研修の前後で行った知識テストでは、平均点が64%から78%に上がりました。2026年7月には、接ぎ木に向く株を485本確認しています。参加者どうしがお互いの畑を訪ねることで、家族や友人にも技術が広がっています。
毎年の調査で、配った苗のうち何本が育っているかを数えています。枯れた苗は植え直しています。
| 期(配布本数) | 2024年 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|---|
| 第1期(3,130本) | 94%(2,959本) | 97%(3,040本) | 98%(3,090本) |
| 第2期(6,573本) | - | 96%(6,322本) | 97%(6,370本) |
| 合計(9,703本) | - | 96%(9,362本) | 97.5%(9,460本) |
ママノのエクアドル代表ウリは、苗床を使わず種を畑に直接まいた場合、育つのは3割ほどだと話しています。
| 期 | 計測 | 平均樹高 | 平均幹径 |
|---|---|---|---|
| 第1期 | 2024年 1回目 | 35.44cm | 0.99cm |
| 第1期 | 2024年 2回目 | 55.96cm | 1.79cm |
| 第1期 | 2024年 3回目 | 75.87cm | 2.58cm |
| 第1期 | 2025年 4回目 | 119.70cm | 5.10cm |
| 第1期 | 2025年 5回目 | 124.28cm | 5.15cm |
| 第1期 | 2026年 6回目 | 115.69cm | 5.94cm |
| 第2期 | 2025年 1回目 | 28.38cm | 1.18cm |
| 第2期 | 2025年 2回目 | 54.23cm | 1.29cm |
| 第2期 | 2026年 3回目 | 82.42cm | 1.70cm |
313本ずつ植えた第1期の畑を、一人ひとり測りました。10人中6人の畑で実がつき、シェイラさんの畑では9月に熟した実を初めて1個収穫しました。
| 名前 | 育っている木 | 樹高 2024 | 樹高 2025 | 樹高 2026 | 花の咲いた木 | 実のついた木 | 実の数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| バネッサさん | 308本 | 49.95cm | 104.55cm | 131.6cm | 5本 | 0本 | 0個 |
| エブリンさん | 310本 | 47.1cm | 104.1cm | 112.15cm | 15本 | 10本 | 40個 |
| ジミーさん | 303本 | 41.55cm | 84.45cm | 101.85cm | 20本 | 0本 | 0個 |
| ジョフレさん | 313本 | 45.95cm | 89.2cm | 116.05cm | 10本 | 0本 | 0個 |
| ニャンビラさん | 308本 | 41cm | 74.8cm | 105.75cm | 3本 | 1本 | 1個 |
| ロナルさん | 312本 | 49.45cm | 110.25cm | 126.8cm | 30本 | 15本 | 35個 |
| ケイラさん | 310本 | 38.7cm | 95.25cm | 111.9cm | 5本 | 2本 | 3個 |
| シンディさん | 303本 | 53.7cm | 119.95cm | 149.35cm | 10本 | 1本 | 4個 |
| シェイラさん | 310本 | 42.55cm | 94.5cm | 112.5cm | 40本 | 20本 | 80個 |
| サニさん | 313本 | 47.05cm | 100.8cm | 131.9cm | 15本 | 0本 | 0個 |
| 合計 | 3,090本 | - | - | - | 153本 | 49本 | 163個 |
第2期で最も背が高いのはヤシラさんの畑の木で、2026年7月の平均は112.1cmでした。
アマゾンでは雨が多く、植物も病害虫も育つのが早い土地です。起きたことは報告書に残し、次の対処につなげています。
| 時期 | 起きたこと | 対処 |
|---|---|---|
| 2024年 | 大雨と気候の変化で、苗床で発芽中の苗が枯れた | カカオポッドを追加で集め、まき直した |
| 2025年 | 天狗巣病。古いカカオの木から風と雨で苗に移る | 病気の枝を切る衛生剪定 |
| 2025年 | 葉焼け、生育の遅れ | 堆肥を施す |
| 2025年 | アリの食害 | 灰汁の散布と畑の清掃 |
| 2025年 | 雨が多すぎて苗床の台が湿り、葉に斑点が出た | 台を小石の土台に変えた |
| 毎年 | 植えた苗の一部が枯れる | 土の状態を確かめて植え直す |
| 2026年 | 第2期の小さな苗が、コオロギなどの害虫と日陰の不足で枯れやすい | 苗床で大きさ、樹高、幹の太さを見て選んでから配る |
| 2026年 | 天候で畑の訪問日程が崩れる。学校や仕事で研修に来られない若者がいる | 日程を組み直して全員の畑を回る |
若者の暮らしの課題も残っています。畑は道から2〜3km離れていることがあり、乾燥豆の約3倍の重さがある生の豆を肩で担いで運び出します。2026年9月の報告会では、道路が傷んで車が入れないこと、カカオだけではまだ生活を支えきれないことが話されました。2025年11月からは若者9名が落花生も育てています。主に家族の食料と地元での販売にあてるためです。
VANILLABEANSでは、販売、製造、経営など部門の違うスタッフが毎年2名ずつ現地を訪れ、若者と一緒に食事をし、山を登り、畑を見て回ります。日本の店舗から農家へのありがとうのメッセージを動画にして、現地で流しています。


第1期の苗の生存と、GPSで作った区画の地図を共有しました。
VANILLABEANSから11名、現地の若者約8名が参加し、畑の様子や暮らし、気候の変化について話しました。若者からは、自分たちのカカオから作ったボンボンやバーを食べてみたい、雨よけのポンチョや疲れにくい剪定ばさみがあると助かる、という声も出ました。
第2期21名への配布を終えたことと、苗床の湿害への対処を報告しました。
2025年の研修の成果と、31名を「森林破壊のないカカオ」の生産者グループに入れたことを報告しました。
苗床、研修、第1期の畑での初めての収穫を報告し、若者とVANILLABEANSのスタッフが質問を交わしました。
「特にお客様が現地を訪問してくれることが、若者のやる気をさらに引き出しています。」
ネルソンさん(ウィニャック組合 代表)、2025年のインタビューより
2025年7月の交流会では、第1期のエブリンさんが日本の店舗スタッフに向けて、チョコレートにはアマゾンとウィニャックの人々の物語があり、家族のために働く人たちがいることを伝えてほしいと話しました。
プロジェクト3年目を迎えた若者たちに話を聞きました。
前は農業がそんなに好きではありませんでした。でも、やってみたらすごく美しいものだと感じました。今は、両親のように農業を続けていきたいです。
エブリンさん(第1期)
親たちは植え方を知っています。でも、僕はもっと技術的に学びたいです。今も学んでいるし、これからもこのプロジェクトで学び続けたいです。
ジミーさん(第1期)
大変なのは、カカオをきれいに管理するための掃除です。でも、家族みんなで一緒に作業して、ミンガをして、家族の時間を持てることが一番いいところです。
サニさん(第1期)
カカオの文化がなくならないでほしいです。祖先から受け継いできたものが、これからも続いて、もっと育っていってほしいです。
シンディさん(第1期)
害虫や病気と向き合うのは大変です。でも、どんな問題にも解決策があると思います。だから私たちは成長し続けられます。
バネッサさん(第1期)
両親もカカオを育ててきました。だから僕たちも同じ道を歩いて、自分たちのカカオを世界のいい市場に届けたいです。
ジョニーさん(第2期)
前は、私たち若者にはカカオをどう扱えばいいのか、技術がありませんでした。でも研修を受けて、今はもっと自信を持って管理できるようになりました。
エリザベスさん(第2期)
前は、害虫や病気が来たときにどうしたらいいのか分かりませんでした。でも今は、化学薬品を使わずに自然な方法で守るやり方を学びました。
ヤシラさん(第2期)
ここで学べることが本当に嬉しいです。植物が花を咲かせて、元気に育っているのを見ると、すごく幸せな気持ちになります。
コニーさん(第2期)
一番大変なのは、太陽の下で働くことです。でも、自然とつながっている感じがします。僕たちは毎日の暮らしのために、チャクラで働いています。
ハリーさん(第2期)
カカオは、ずっと昔から続いてきた美しい文化です。一番うれしいのは、カカオの実を収穫するときです。
クリスティアンさん(第2期)
チャクラ・コーポレーションが制作したインタビュー動画「語りかける根」の日本語訳より。記事で全文を読む
今は10人の若者かもしれませんが、来年は50人、100人と増えていくことを願っています。
ネルソンさん(代表)、2024年5月の開始式で
私たちはまず活動的な組合員を見て、本当にチャクラで働きたい若者を選びました。文化的なアイデンティティが少しずつ失われつつある中、若者の参加はとても重要です。
ネルソンさん(代表)、2025年のインタビューで
このプロジェクトは、ウィニャックにとって重要な3つのポイントに焦点を当てています。一つ目は若者と女性の参加を促すこと、二つ目はチャクラシステムの生産を促進すること、そして三つ目は経済的な収入の機会を作り出すことです。
シャキーラさん(現地責任者)
チャクラは、キチュアの家族が森の中でカカオ、ユカ、バナナ、果樹などを一緒に育てる伝統的なアグロフォレストリーです。2023年、国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に認定されました。2025年7月の交流会でママノのエクアドル代表ウリは、季節の移り変わりが読めなくなっているなかで、背の高い木が日差しをさえぎる多層のチャクラは、単一栽培の畑より気候の変化の影響を受けにくいと話しています。チャクラについてはアマゾンのチャクラとカカオのアグロフォレストリーのページで詳しく紹介しています。


横浜のVANILLABEANSは、創業25年を超えるチョコレートブランドです。現地で一緒に取り組んできたママノから見ると、このプロジェクトを始めた理由は大きく4つあるのではないかと考えています。
VANILLABEANSは「チョコレートで世界の幸せをデザインする」という理念を掲げ、原産国の人も食べる人も作る人も、チョコレートに関わるすべての人が笑顔になれるような仕組みづくりを目指しています。早くからフェアトレードのチョコレートを導入し、ガーナでの学校建設や農家支援を続けてきました。カカオ栽培のより源流での支援や、気候変動のようにカカオ農家に大きく影響する課題へ目を向けたのは、その歩みの延長にあると感じています。
VANILLABEANSは以前から、エクアドルの華やかな香りのカカオを商品づくりに使ってきました。支える産地のカカオで、お客さんにもっと喜んでもらえるチョコレートをつくりたい。その思いが、エクアドルでのプロジェクトにつながったのだと思います。
カカオ豆からチョコレートをつくるブランドにとって、最も大切な原料はカカオ豆です。農家を選び、初めての農業のきっかけをつくり、苗を配り、技術を支え、毎年訪ねて、初めての収穫をともに喜ぶ。自ら支えた農家の豆でチョコレートをつくることは、チョコレートをつくる人にとって、ひとつの夢なのかもしれません。
2024年にカカオの価格が大きく上がったとき、ママノは現地で、組合が苦労して集めた良質な豆が、長く関係を築いてきた企業から先に届けられていく様子を見てきました。同じ品種や産地でも、実際の品質には差があります。このプロジェクトでは、若者と組合が、育ったカカオを優先的にVANILLABEANSへ届けることを覚書で約束しています。苗を植えるところから一緒に歩んできた若者たちが育てるカカオです。
樹齢ごとに1本の木がつける実の数を、保守的な場合と多い場合の2通りで見積もりました。2027年は第1期の木だけが実り、乾燥豆で約250〜330kgです。
出典: ママノ「乾燥カカオ豆の収穫予測」(2026年9月、現地の樹齢別見積もりをもとに作成)
このプロジェクトで植えたカカオから、若者に新しく生まれる売上の見込みです。収穫量の予測に、2026年の買付価格を掛けて出しました。2027年は実がなるのが第1期の木だけなので10名で、2028年からは31名で割っています。
| 年 | 収穫できる若者 | 1人あたりの年間売上 |
|---|---|---|
| 2027年 | 10名 | 約80〜110ドル |
| 2028年 | 31名 | 約90〜130ドル |
| 2029年 | 31名 | 約200〜300ドル |
| 2030年 | 31名 | 約330〜530ドル |
| 2031年 | 31名 | 約540〜880ドル |
| 2032年 | 31名 | 約740〜1,310ドル |
| 2033年 | 31名 | 約810〜1,780ドル |
低い見込みは保守的な収穫量に低い価格を、高い見込みは最大の収穫量に高い価格を掛けています。価格は相場で変わります。
開始式から植樹、若者へのインタビュー、2期目の視察まで。ママノのYouTubeで公開している動画です。



































横浜のチョコレートブランドVANILLABEANS(チョコレートデザイン株式会社)が資金を出し、エクアドル・アマゾンのナポ州でウィニャック組合の若者31名が、親から譲り受けた0.5haの土地に初めて自分のチャクラをつくり、カカオを育てるプロジェクトです。2024年に始まりました。現地では「Mi Primera Chakra(私の初めてのチャクラ)」と呼ばれています。
プロジェクトオーナーと資金提供はVANILLABEANS、現地での実施はウィニャック組合、現地のコーディネートはママノチョコレートとNPO法人ママノアマゾニアが担っています。畑を持つのは、ウィニャック組合に加盟する家族の若者31名です。
ナポ州の11の集落に住むキチュアの若者31名です。2024年に第1期の10名、2025年に第2期の21名が参加しました。参加したときの年齢は17〜27歳で、31名のうち22名が女性です。
2026年8月までに10,503本です。1人313本を2回に分けて配り、2024年に第1期へ3,130本、2025年に第2期へ6,573本を届けました。2026年は1人200本を目安に計6,200本を追加する計画で、追加分は区画を広げたり、区画の空いている場所に植えたりしています。8月に最初の800本を5名に配りました。配り終えると、計画で15,903本になります。
2026年7月の調査では、第1期・第2期に配った9,703本のうち9,460本が育っていて、生存率は97.5%でした。第1期の木の平均樹高は115.69cm、第2期は82.42cmです。第1期では10人中6人の畑で、49本の木に計163個の実がついていました。
2026年に第1期の一部の木で実がつき、9月には熟した実を初めて1個収穫しました。まとまった収穫は2027年からの見込みで、乾燥豆で2027年に約250〜330kg、2030年に約3,450〜4,730kg、2033年に約8,420〜16,020kgと予測しています。収穫量の予測で、実際に調達できる量とは異なります。
VANILLABEANSのプロジェクト対象商品の売上の一部です。対象商品を買ったお客さんも、プロジェクトを支える参加者になります。
ママノチョコレートは、このプロジェクトの現地コーディネートを担当しています。エクアドル・アマゾンの組合と一緒に、産地へ関わる形を検討したい企業の方は、お問い合わせページからご相談ください。
VANILLABEANSのプロジェクト対象商品を買うと、その売上の一部がエクアドルの若者の苗と研修になります。若者たちが育てたカカオのチョコレートを、一緒に待っていてください。
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