第2章24〜25ページ。アマゾン・チャクラの節と、チャクラの森とカカオの収穫の写真

八木信行先生の本に、チャクラとママノの取り組みが載りました

八木信行先生から、チャクラのことが載った本をいただきました。

2026年にSpringer(シュプリンガー)から出た英語の学術書『Sustainable Management of Agricultural Traditional Systems』です。世界農業遺産のような昔からの農業を、時代に合わせて少しずつ変えながら守っていくための本で、八木先生は4人いる編者のひとりです。

八木先生は東京大学の特命教授で、2019年から2023年までは、FAO(国連食糧農業機関)の世界農業遺産(GIAHS)プログラムで科学アドバイザリー会合の委員を務めていました。その八木先生が書いた第2章に、エクアドル・アマゾンのチャクラと、ママノの現地での取り組みが写真つきで載っています。

Springerの学術書『Sustainable Management of Agricultural Traditional Systems』の表紙。編者に八木信行教授
Springer「Sustainable Development Goals Series」の1冊です。

第2章は世界農業遺産の4地域を比較

第2章の題は「Dynamic Conservation of Traditional Agroecosystems」で、日本語にすると「伝統的な農業生態系の動的な保全」です。17〜30ページに、世界農業遺産に認定された4つの地域が取り上げられています。そのひとつが、2023年に認定されたエクアドル・ナポ県の「アマゾン・チャクラ」です。

チャクラは、カカオ、コーヒー、グアユサ、バニラ、キャッサバなどを森の中で一緒に育てる、家族の農園です。でこぼこの土地に木がぎっしり植わっているので、機械は入れません。カカオの実も、ひとつずつ手で採っています。

第2章24〜25ページ。アマゾン・チャクラの節と、チャクラの森とカカオの収穫の写真
24〜25ページ。高さの違う木々が混ざるチャクラの森と、手で採るカカオの写真が載っています。

3つの組合で、生産者は2,210人

本では、ナポ県でカカオの輸出に取り組む組合として、カヤリ(1,122人)、ウィニャック(909人)、ツァツァヤク(179人)の3つが紹介されています。

僕たちが一緒に仕事をしているウィニャック組合は、生産者の98%がキチュア族の家族で、65%が女性です。

ママノのことも書いてもらいました

本の中で、日本の輸出先としてママノの名前が出てきます。書かれているのは、こんなことです。

  • 現地の組合から、カカオを長く、定期的に買い続けていること
  • チャクラのことを日本のお客さまに伝え、日本の好みを現地の生産者に伝えていること
  • 日本で売っているチョコレートを、ナポ県の生産者に食べてもらう試食会を開いていること
  • ウィニャック組合と一緒にカカオを植えたり、日本のショコラティエが現地を訪ねたりしていること

載っている写真は、どれも2024年に八木先生が現地で撮ったものです。

第2章26〜27ページ。ウィニャック組合での日本のチョコレートの展示、植樹、現地での話し合いの写真
26〜27ページ。ウィニャック組合でのチョコレートの展示、植樹、現地での話し合いの写真です。

植樹は、バニラビーンズとの「みんなで育てるカカオの森プロジェクト」

ウィニャック組合でのカカオの植樹は、横浜のチョコレートブランドVANILLABEANS(バニラビーンズ/チョコレートデザイン株式会社)と一緒に進めている「みんなで育てるカカオの森プロジェクト」です。現地では「Mi Primera Chakra(私の初めてのチャクラ)」と呼ばれていて、2024年に始まりました。

役割は3つに分けています。

  • バニラビーンズ:資金を出し、収穫したカカオをチョコレートにする
  • ウィニャック組合:苗づくり、研修、計測を現地で行う
  • ママノ:現地のコーディネートを担当する

参加しているのは、17〜27歳のキチュア族の若者31名で、そのうち22名が女性です。親から譲り受けた0.5ヘクタールの土地に1人313本のカカオを植えて、初めて自分のチャクラを持ちます。育ったカカオをどこに売るかは、植える前に覚書で決めました。2024年8月から2026年9月までに配った苗は15,903本です。

費用は、バニラビーンズのプロジェクト対象商品の売上の一部でまかなっています。対象商品を買うと、その一部が苗や研修の費用になります。若者のチャクラで育ったカカオは、またバニラビーンズのチョコレートになります。

八木先生も、2024年5月21日の開始式に参加して、第1期のジミーさんのチャクラで苗を植えました。プロジェクトの詳しい記録は「みんなで育てるカカオの森プロジェクト」のページにまとめています。

作る人を知ると、チョコレートの価値が変わる

八木先生は、こうしたつながりを「関係価値(relational value)」という言葉で説明しています。遠い国でとれたカカオは、日本ではただの「商品」として見られがちです。でも作っている人の顔が浮かぶと、同じものでもより大切に感じて、高く評価するようになる、という考え方です。

チャクラはいろいろな作物を一緒に育てるので、たくさんはとれません。とれる量が少ない分、1kgあたりの値段を上げる必要があります。そのために輸出の道をつくることや、食べる人とのつながりをつくることは、昔ながらの農法を守ることにもつながる、と八木先生はまとめています。

八木先生には、2023年にもチャクラと世界農業遺産についてお話を伺いました。

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