【アーカイブ動画公開】エクアドル・アマゾンのチャクラを歩く。カカオ、薬草、チチャ、キチュア族の暮らし
チャクラは、エクアドル・アマゾンのキチュア族が家族単位で管理する、1〜2ヘクタールの森のような農園です。2026年9月5日の朝、ナポ県にあるマルコさんのチャクラとStarlinkでつなぎ、現地時間の夕方5時からおよそ1時間25分の生中継を行いました。その録画を公開します。現地の案内はママノチョコレート現地代表のウリ、通訳はNPO法人ママノアマゾニア事務局長の渡邊ゆり恵さん。チャクラの説明は、この農園の持ち主でウィニャック組合のマルコさんとエンリケさんです。
中継のようす
中継はStarlinkでつなぎました。ノートパソコンをカカオの木に引っかけ、そこから1時間25分を通しています。
このアーカイブで見られること
- 00:00オープニング。エクアドル・アマゾンのチャクラから
- 00:022026年産のカカオは、すでに日本へ向けて出荷済み
- 00:09チャクラ認証のSPG。検査するのは外部機関ではなく住民
- 00:13チャクラとは。ケチュア語で「女性」を意味する言葉
- 00:19農具はマチェッテ1本。だから1〜2ヘクタールに収まる
- 00:21チャクラを歩く。アヤワスカ、ローレル
- 00:23日本へ出しているカカオ。ナショナル種とトリニタリオ
- 00:26キャッサバを掘る。チチャは翌日にアルコール1%
- 00:28薬草。コロナ禍、肌の湿疹、出産のあと
- 00:34マイトとチョンタ。1本の木から実も建材も食用の幼虫も
- 00:37グアユサ、モレテヤシ、チリグアユサ
- 00:45チャクラ同士で種を交換する。アマゾンシナモンの復活
- 00:51マンディパンガの葉で悪いエネルギーを払う
- 00:54ここから質疑応答
- 00:58エクアドル・アマゾンの7つの先住民族と、熱帯の気候
- 01:03森は、木と空気があるだけの場所ではない
- 01:05チャクラの植物配置。肥料は使わない
- 01:13雑草管理。殺虫剤を使わず、マチェッテで
- 01:14気候変動とチャクラのレジリエンス
話した人
- マルコさん ウィニャック組合の組合員でカカオの生産者。チャクラコーポレーションの代表を務めます。今回歩いたのはマルコさんのチャクラです。
- エンリケさん キチュア族。チャクラという生産システムの成り立ちを説明しました。
- ウリ ママノチョコレート現地代表。チャクラの中を案内しました。
- 渡邊ゆり恵さん NPO法人ママノアマゾニア事務局長。通訳を担当しました。
- 江沢孝太朗 ママノチョコレート代表。進行を担当しました。
チャクラとは、家族の土地区画のこと
「チャクラ」はケチュア語で、女性を意味する言葉です。キチュアの家族は、自分たちの土地の区画をこう呼びます。そこで先祖代々伝わってきた作物を育てる、農業の生産システムそのものがチャクラです。
エンリケさんは、チャクラを「つなぐもの」だと説明しました。家族とのつながり、コミュニティとのつながり、森、土地、水、空気、空とのつながり。そして家族の暮らしと健康を支える場所でもあります。体調を崩したときの薬もここから採ります。

外から来た作物をいきなり植えることはしません。今まで伝わってきたものを、このシステムの中で育てていきます。100種類以上の有用植物が同じ一枚の畑に共生し、食べ物、家を建てる建材、薬、工芸品まで、家族が使うもののほとんどがこの空間にあります。
農具はマチェッテ1本。だから1〜2ヘクタールに収まる
マルコさんは中継の途中でマチェッテを画面に見せ、これがチャクラで使うほぼ唯一の農具だと言いました。マチェッテ1本で管理できる広さという制約が、そのままチャクラの大きさを決めています。多くても1〜2ヘクタール。家族単位で見きれる範囲です。

チャクラ認証を審査するのは、外部機関ではなく住民
ママノが扱うカカオ豆に付いているチャクラ認証は、SPG(参加型保証システム)という仕組みで運用されています。外部の認証機関がやってきて検査するのではなく、チャクラを持つ住民同士が検査し合って認証する方式です。マルコさんは、その運営母体であるチャクラコーポレーションの代表を務めています。
中継の冒頭では、2026年産のカカオがすでにコンテナに積まれ、日本へ向かっている最中であることも報告されました。この年のカカオの収穫そのものは終わっていますが、チャクラは年中無休で動いています。
チャクラで育っていたもの
中継では、マルコさんのチャクラを歩きながら植物を1つずつ見ていきました。中継中に紹介されたものを整理します。
| 植物 | 暮らしでの使いみち |
|---|---|
| アヤワスカ | 精神的なつながりを持つ神聖な植物 |
| ヒンビ(jimbi) | 神聖な薬用植物。コロナ禍にもこれを使った |
| ローレル | 家の建材。チャクラの空気の循環をつくる木 |
| カカオ | 日本へ出荷しているファインアロマ。ナショナル種と、トリニタリオが混ざったもの。中継時はちょうど開花期 |
| キャッサバ | 主食。発酵飲料チチャの原料 |
| チョンタ(ヤシ) | 実を食べる。建材にする。チチャの原料にする。倒した幹では食用の幼虫チョントゥクロが育つ |
| グアユサ | 夜明けに毎日飲む。家庭で使うほか、組合を通じて国内外へ販売 |
| チリグアユサ | グアユサの近い仲間。発熱したときに水と一緒に蒸して使う |
| モレテヤシ | 実を食べる。国内外へ取引 |
| アマゾンシナモン(イシュピンゴ) | 一度失われたが、他のチャクラから種をもらって復活。グアユサと混ぜて組合が商品化 |
| ロブスタコーヒー | 葉の厚さが違う2種類。ドイツなどへ輸出 |
| マイトに使う葉 | マイトは魚を葉で包んで火にかける料理。風味づけの葉と、包む葉の2種類を使う。包む葉はかつてマットレス代わりに敷いて寝たもので、今はティラピアなどを包む |
| マンディパンガ | 悪いエネルギーを払い、ポジティブなエネルギーをもたらす葉。森に入る前に使う |
| 薬草各種 | 子どもの高熱、肌の湿疹、腹のガスや乾いた咳、出産のあとの浄化 |

キャッサバは中継の中で実際に掘り出しました。これを主食として食べ、少量の水を加えて置いておくと、翌日にはアルコール分1%ほどのチチャになります。エクアドルのアマゾン地域では数千年前から飲まれてきた発酵飲料で、キャッサバのほかバナナやカカオを使ったチチャもあります。
マンディパンガの葉は、マルコさんが実際にエンリケさんに向けて使ってみせました。悪いエネルギーがある場合は葉が動くというサインが出るそうです。マルコさんの父親がシャーマンで、この知識はそこから受け継いだものです。
薬用植物では、ヒンビ(jimbi)が神聖なものとして紹介されました。コロナが蔓延したときも、この薬草を使って対応したそうです。ほかに、肌に湿疹ができたときにタバコと調合して使う植物、出産の翌日に飲む浄化作用のある薬草、子どもが高熱を出したときの薬草、腹にガスが溜まったときや乾いた咳が出るときに体に塗る植物が出てきました。
チャクラ同士で、種を交換する
マルコさんのチャクラにあるロブスタコーヒーは、もともとここにはありませんでした。別のチャクラで育っていたものを、種の交換で持ってきたものです。アマゾンシナモン(現地名イシュピンゴ)も同じで、一度この土地から失われたあと、他のチャクラから種をもらって復活させ、今は組合の商品になっています。
チャクラを持つ家族の間では、種の交換が頻繁に行われています。自然と調和した環境をつくり、それぞれのチャクラで商業化できるものを増やして協力し合う。その考え方が交換を支えています。

参加者からの質問と、現地からの回答
アマゾンはどんな場所で、どんな生活をしていますか
エクアドルのアマゾンには、キチュアのほかセコイア、シュアールなど7つの先住民族が暮らしています。それぞれが独自の言語、文化、土地を持っていて、言葉での相互理解はできません。気候は熱帯で、気温は24度から31度ほどです。
いつもなら10月にできていた生産の時期が遅れたり早まったりすることが最近よくあり、気候の変化を肌で感じているという話も出ました。
キチュアの人々と森とのつながりについて
森は、木があって空気があるだけの場所ではありません。きれいな水をくれる川があり、そこに住む動物も一緒に暮らしているものとして捉えられています。人間と密接に関わり合い、相互に作用する土地。それがキチュアの人々にとってのアマゾンです。
チャクラの中で、植物をどう配置していますか
チャクラは、何か1つの単一の作物を植える場所ではありません。自然の森としてのシステムの特性が失われないように、多様な植物が互いに関わりを持つ形で配置されています。
肥料は使いません。落ちた葉が日陰をつくり、土に還って養分になります。どこに何を植えるかを書いた参考書はなく、空いているところを見つけ、バランスを見て苗を植えます。技術化するよりも、先祖代々の知識で判断する観点を大事にしているという回答でした。
雑草はどう管理していますか
殺虫剤は使いません。殺虫剤を使うと土壌の中の微生物が全部死んでしまうからです。落ちた葉が土に還っていくプロセスを残すために、マチェッテを使った手作業で管理しています。中継の中でも、実際にマチェッテを振るう様子が映りました。
気候変動の影響はありましたか
2024年ごろ、乾燥と強い日差しが続いた時期がありました。カカオだけを育てているモノカルチャーの農園では、花が全部焼けてしまったそうです。
チャクラでは被害が小さく収まりました。森のような構造になっているため、日差しが強ければ木々が他の植物を守り、雨が多ければ土壌が水を蓄えます。病害虫についても、モノカルチャーではすぐ隣にカカオの木があるので一気に広がりますが、チャクラではカカオがいろいろな場所に散らばっているため広がりを抑えられます。
どの農業様式であっても気候変動に100パーセント太刀打ちできるものはない。ただ、こうした伝統的なシステムを使うことで、より備えられているのではないか。それが現地からの答えでした。

チャクラで育ったものを買う
ママノチョコレートが扱うものは、基本的にこのチャクラシステムで育ったものだけです。中継で見た植物のいくつかは、そのまま商品になっています。
カカオ豆・カカオマス
中継で見た、チャクラのカカオそのもの。チャクラ認証取得
チョコレート
そのカカオから作ったタブレット
グアユサ・ドリンク
マルコさんが夜明けに毎日飲むと話していたグアユサ
ハリナシバチの蜂蜜
チャクラに巣箱を置き、受粉を助ける蜂の蜜
グアユサを朝の一杯として届けているブランド
Zengyが使っているのは、この中継で見たチャクラで育ったグアユサです。マルコさんは中継の中で「グアユサは夜明けに毎日飲む」と話していました。その飲み方を日本の朝に持ってきているのが Zengy です。ティーバッグ4包400円と、茶葉100g(40〜50杯分)800円で扱っています。
開催概要(終了しました)
| 日時 | 2026年9月5日(土)7:00〜8:30(日本時間) |
|---|---|
| 形式 | オンライン(Google Meet) |
| 参加費 | 無料 |
| 中継元 | エクアドル・ナポ県のチャクラ(Starlink接続) |
| 主催 | ママノチョコレート |
もっと知る
カカオのアグロフォレストリーとは エクアドルのアマゾン『チャクラ』とは
カカオを買っているウィニャック組合については組合からのメッセージをご覧ください。チャクラを実際に見に行く機会として、2027年4月のエクアドル合同視察を業界の方向けに準備しています。
チャクラについてより詳しく知りたい方は、認証を運営するチャクラ協会(Corporación Chakra)のサイトをご覧ください。今回の中継で話に出たコスモビジョンについても紹介されています。エクアドル・ナポ県のテナに拠点があります。
NPO法人ママノアマゾニアでは現在、キチュアの仲間たちと野生カカオ探索事業を通じて、農家の生計向上と違法採掘問題の解決に向けた活動を行っています。よかったらサポートをお願いいたします。
よくある質問
チャクラとは何ですか?
エクアドル・アマゾンのキチュア族が家族単位で管理する、1〜2ヘクタールの森のような農園です。「チャクラ」はケチュア語で女性を意味し、家族の土地区画とそこで営まれる農業の生産システムの両方を指します。食べ物、建材、薬、工芸品まで、家族が使うもののほとんどがこの空間にあります。
チャクラではどんな農具を使いますか?
マチェッテと呼ばれる山刀がほぼ唯一の農具です。マチェッテ1本で管理できる広さという制約があるため、チャクラの面積は多くても1〜2ヘクタールに収まります。
チャクラでは農薬や肥料を使いますか?
使いません。殺虫剤を使うと土壌の中の微生物が死んでしまうため、雑草はマチェッテを使った手作業で管理します。肥料も使わず、落ちた葉が日陰をつくり、土に還って養分になります。
チャクラは気候変動に強いのですか?
2024年ごろに乾燥と強い日差しが続いたとき、カカオだけを育てているモノカルチャーの農園では花が全部焼けてしまいました。チャクラでは被害が小さく収まっています。日差しが強ければ木々が他の植物を守り、雨が多ければ土壌が水を蓄え、カカオが散らばっているため病害虫も広がりにくいためです。ただし、どの農業様式であっても気候変動に100パーセント太刀打ちできるものはない、というのが現地の回答でした。
チャクラ認証はどのように審査されますか?
SPG(参加型保証システム)という仕組みで運用されています。外部の認証機関が検査に来るのではなく、チャクラを持つ住民同士が検査し合って認証します。運営母体はチャクラコーポレーションです。
チチャとはどんな飲み物ですか?
キャッサバに少量の水を加えて置いておくとできる発酵飲料です。翌日にはアルコール分が1%ほどになります。エクアドルのアマゾン地域では数千年前から飲まれてきました。キャッサバのほか、バナナやカカオを使ったチチャもあります。