人間って自然の恵みを受けて生きているいきものなんだよな【podcast #9】2026年9月9日配信
Episode 09
チャクラとは、エクアドル・アマゾンのキチュア族が家族単位で管理する、1〜2ヘクタールの森のような農園です。
2026年9月5日、ナポ県にあるマルコさんのチャクラとStarlinkでつないで、1時間25分の生中継を行いました。第9話はその直後に、チャクラについて話した回です。話すのは、ママノチョコレート代表の江沢孝太朗と、NPO法人ママノアマゾニア事務局長でグアユサ茶ブランドZengyを立ち上げた渡邊ゆり恵さんです。
番組を聴く
2026年9月9日配信です。各サービスの番組ページから最新のエピソードを聴けます。
この回の内容
- 00:00セミナー直後に収録しています
- 00:50エクアドル側はウリ、エンリケさん、マルコさん
- 01:53都市で暮らしていると、自然とのつながりは感じにくい
- 03:00キチュアのコスモビジョン。森と人の相互作用でチャクラができた
- 04:01「チャクラ」の語源は、キチュア語の「女性」
- 05:30ラ・セルバ、ティエラ、パチャママ。スペイン語の女性名詞
- 06:47カカオはナショナル種に、赤いトリニタリオが少し混じる
- 07:21Starlinkでつなぐ生中継の裏側。カカオの木の上にパソコンを置く
- 08:49マイトの葉。魚や鶏を包んで焼く
- 10:12チャクラに個性が出る。主食を多く植えるか、換金作物を多く植えるか
- 12:54チョンタ1本から、実もチチャも芯も幼虫も建材も採れる
- 14:56風邪、熱、傷、湿疹。植物の使い分け
- 17:14モノカルチャーとの収穫量の差は3倍どころではない
- 18:15カカオ農園ではない。森を模した中で農業をしている
- 19:21原生林と国立公園をつなぐ回廊としてのチャクラ
- 20:473年で森になり、8年で原生林のようになる
- 21:31雑草はマチェッテ1本で刈る
- 24:02気候変動へのレジリエンス。腐葉土と深い根、40日降らなかった年
- 25:32次回はNPO法人ママノアマゾニアの話を
話した人
- 江沢孝太朗ママノチョコレート代表。エクアドル・アマゾンのカカオを生産者から直接買い付けています。
- 渡邊ゆり恵NPO法人ママノアマゾニア事務局長。グアユサ茶ブランドZengyを立ち上げました。セミナーでは通訳を担当しています。
この回で話したこと
「チャクラ」の語源は、キチュア語の「女性」
チャクラという言葉は、これまで「裏庭」や「食べられる森」といったニュアンスで説明されてきました。セミナーで語源をたどると、キチュア語の「女性」に行き当たります。昔は男性が狩りに出て、女性が家の周りで植物を管理し、ユカ(キャッサバ)を育てていました。チャクラを管理する女性は今も「チャクラママ」と呼ばれています。
スペイン語でも、森を意味する la selva、大地を意味する tierra は女性名詞です。母なる大地を指すパチャママにも「ママ」が付きます。
森と人の相互作用でできた農園
セミナーでは、キチュアのコスモビジョン(宇宙観)から話が始まりました。森と、滝、川、木、植物、動物とのつながり。森はただ木が生えている場所ではなく、人が採って食べ、そこから現金収入を得る場所でもあります。森と人が影響し合ってきた結果として、チャクラという農園の形ができました。
チョンタ1本から、実も酒も芯も幼虫も建材も
チョンタはヤシの一種です。実はプルーンほどの大きさで、そのまま食べられます。水を足して置いておくとアルコール発酵し、伝統的な飲みものであるチチャになります。幹の中心はチョンタパームと呼ばれる柔らかい部分で、こちらも食べられます。木を切り倒すと、その中でチョンタクロ(chontacuro)という昆虫の幼虫が育ち、それも食べます。切った幹は家の建材になります。
ほかにも、マイトの大きな葉で魚や鶏を包んで焼く、風邪をひいたときや熱が出たとき、傷や湿疹ができたときに使う植物を、それぞれ紹介してもらいました。10種類以上の植物が1つのチャクラの中に植わっています。
カカオ農園ではない。カカオは森の一部
チャクラの写真を見ても、カカオの木はそれほど多くありません。モノカルチャーであれば1ヘクタールあたり1,000本から1,200本を植えます。収穫量の差は3倍どころではなく、5倍、10倍になります。
それでもチャクラを続けるのは、カカオの生産性ではなく、チャクラの中にカカオが組み込まれていること自体に意味があるからです。普段は説明の都合でカカオ農園と呼んでしまうことがありますが、実際にはカカオ農園ではありません。
原生林と国立公園をつなぐ回廊
この地域では、1家族が1〜2ヘクタールのチャクラを持ち、その周りに10ヘクタールほどの原生林を所有していることがあります。県内には国立公園が7つあり、コミュニティは原生林のジャングルに囲まれています。
チャクラがモノカルチャーに変わると、森のそばが単一の畑になり、その次に街になります。動物は原生林の外では生きられないため、離れた原生林や国立公園のあいだを移動できなくなります。チャクラがあることで、動物も鳥も昆虫もそのあいだを行き来できます。カカオのアグロフォレストリーとしての機能が、ここにあります。
農具はマチェッテ1本
下草は全部手作業で刈ります。使うのはマチェッテ(ナタ)だけです。腰をかがめて、植えた苗木をときどき切ってしまいながら刈っていきます。日本の農家であれば草刈り機も運搬用の道具も持っていますが、ここにはありません。1人1本、多い人は何本か持っています。
世界農業遺産に認定されているからといって、機械を使ってはいけない決まりがあるわけではありません。作業が大変なときに草刈り機を貸し借りする人もいます。それでも、家の近くで手作業できる広さに収まっているから、1〜2ヘクタールという規模になります。
腐葉土と深い根。40日降らなかった年
気候変動の話も出ました。チャクラには常に大きな木があり、根が四方八方に地中深く広がっています。腐葉土もあります。2024年には40日ほど雨が降らなかった時期がありましたが、チャクラの木はそこまで枯れませんでした。
モノカルチャーでは、水がなくなると撒く水も汲み上げられず枯れてしまいます。病気も、同じ品種が密に植わっていると次々に広がります。チャクラはさまざまな品種が空間の余裕をもって植わっているぶん、広がりにくくなります。
チャクラで育ったものを買う
ママノチョコレートが扱うものは、基本的にこのチャクラで育ったものです。この回で話した植物のいくつかは、そのまま商品になっています。
カカオ豆・カカオマス
この回で話した、チャクラのカカオそのもの
チョコレート
そのカカオから作ったタブレット
グアユサ・ドリンク
チャクラにみんなが植えていると話していたグアユサ
ハリナシバチの蜂蜜
チャクラに巣箱を置き、受粉を助ける蜂の蜜
もとになったセミナーのアーカイブ
この回で話しているセミナーは、1時間25分のアーカイブ動画で公開しています。10種類以上の植物を、チャクラを歩きながら順に見ていく内容です。
- エクアドル・アマゾンのチャクラを歩く(アーカイブ動画とタイムスタンプ)
- エクアドルのアマゾン『チャクラ』とは
- チャクラ認証について
- ウィニャック組合からのメッセージ
- エクアドル合同視察 2027年4月19日〜25日
よくある質問
- チャクラとは何ですか?
- エクアドル・アマゾンのキチュア族が家族単位で管理する、1〜2ヘクタールの森のような農園です。カカオ、薬草、主食、建材になる木などが混ざって植わっています。
- 「チャクラ」という言葉の語源は何ですか?
- キチュア語の「女性」です。昔は女性が家の周りで植物を管理していました。チャクラを管理する女性は「チャクラママ」と呼ばれています。
- チャクラのカカオは、普通のカカオ農園と何が違いますか?
- 収穫量が大きく違います。モノカルチャーは1ヘクタールあたり1,000本から1,200本のカカオを植えますが、チャクラのカカオは森の一部です。生産性ではなく、森の中にカカオが組み込まれていることに意味があります。
- チャクラではどんな農具を使いますか?
- マチェッテ(ナタ)1本です。下草はすべて手作業で刈ります。機械の使用が禁じられているわけではなく、草刈り機を貸し借りする人もいます。
- チャクラは気候変動に強いのですか?
- 2024年に40日ほど雨が降らなかった時期がありましたが、チャクラの木は枯れずに持ちこたえました。大きな木の深い根と腐葉土があることが理由として挙げられています。
- チョンタはどのように使われますか?
- ヤシの実はそのまま食べられ、水を足して置いておくと発酵して伝統的な飲みもののチチャになります。幹の中心も食べられ、切り倒した幹で育つチョンタクロという幼虫も食べます。幹は建材にもなります。
この森を残す活動を支える
NPO法人ママノアマゾニアは、熱帯林の保全と現地の先住民の生活向上を同時に進めるために活動しています。第一弾として、コミュニティが保有する1,400ヘクタールの原生林に、野生カカオ3,000本を植樹します。