
8月21日(木)AM7:00-8:30 カカオ組合のしごとを知る 〜輸出前カカオ品質最終チェックセミナー〜
8月21日(木)AM7:00-8:30 カカオ組合のしごとを知る 〜輸出前カカオ品質最終チェックセミナー〜
以下に、セミナーの内容を共有します!
エクアドル現地報告 カカオ輸出直前の品質チェックセミナー
セミナーの背景
エクアドルから日本へのカカオ豆の出荷を目前に控えた8月21日、キチュア族の協同組合WINAKが輸出前カカオ品質最終チェックのオンラインセミナーを開催しました。発酵と乾燥を終えたカカオ豆を、出荷直前に最終確認するためのイベントです。現地スタッフが倉庫から中継し、検品や袋詰めの様子を見せてくれました。
参加したメンバー
セミナーを進行したのは、Mamanoチョコレートのエクアドル駐在コーディネーターのウリさん、WINAKのマーケティング担当エンリケさん、技術サポートを担当するハビエルさんです。三人が協力しながら、品質チェックの各工程を説明してくれました。
機械選別によるサイズ分け
・乾燥したカカオ豆を振動選別機にかけ、豆を大きさごとに三段階に分類。
・一番大きな粒、中粒、小粒と順に排出され、最も小さな豆は「パハリート(小鳥)」と冗談交じりに呼ばれることも。
・均一な焙煎のために大きさを揃えるのが目的。選別過程で殻だけの豆なども除去されます。
手作業による最終チェック
・機械選別後の豆をテーブルに広げ、スタッフが手作業で欠点豆を取り除く。
・割れた豆や未熟豆、カビの兆候があるものを一粒ずつ確認し、日本到着後に追加選別が不要な状態まで整えます。
・水分計で水分率を測定し、7%以下であることを確認。基準を超えていれば屋外テントに戻して2〜3日再乾燥します。
・ランダムに約50粒を半分に切るカットテストで発酵状態を確認し、発酵率75%以上を目標とします。この日の発酵率は85〜88%と高水準でした。
袋詰めと輸出準備
・検査に合格した豆を、1袋20kgずつグレインプロという密閉袋に詰め、脱酸素剤を5袋入れ、ジッパーで密閉。
・脱酸素剤は合計で約2500ccの酸素を吸着し、虫やカビの発生を防ぐ役割を持ちます。
・内袋をさらに白い外袋に入れ、工業用ミシンで口を縫い合わせる三重構造で輸送中の衝撃や湿度を防ぎます。
・袋にはロット番号を記載し、1袋ごとに正確に計量して管理します。
政府機関の検査
袋詰めのあと、エクアドル政府の検査機関Agrocalidadが倉庫に来てサンプル検査を行います。品種や品質が輸出基準を満たしているか確認し、合格すると輸出許可証が発行されます。セミナーでは「水曜日までに梱包を終え、木曜日にコンテナに積み込む」という具体的なスケジュールが共有されました。
ロット管理とトレーサビリティ
WINAKでは収穫シーズン中に複数回カカオ豆を集荷し、集荷日ごとにロット番号を付けて別々に管理しています。ロットによっては複数のコミュニティの豆が混ざることもありますが、どの日にどの地域から集めたかが分かるように記録しています。希望があればロット番号からコミュニティ名を追跡することもでき、産地の透明性向上に取り組んでいることが紹介されました。
市況の高騰と今後の見通し
セミナーの終盤では最近のカカオ豆価格高騰についても触れられました。国際市場の価格が急騰し、ここ1年で約3倍の水準に達していると報告されました。この高騰の影響で、WINAKが農家から豆を買い付ける資金調達が難しくなるなど、生産者側への負担が増えているそうです。価格は今後数年かけて落ち着くと予想され、2025年にはやや下がる可能性が示されました。
まとめ
今回のセミナーでは、エクアドル産カカオ豆が日本に届くまでの最終工程を詳しく知ることができました。機械と手作業を組み合わせた丁寧な選別、水分や発酵状態の厳格なチェック、脱酸素剤入り袋での密封包装、政府機関による検査など、多くの工程を経て高品質なカカオが送り出されています。WINAKはロット管理や産地の透明性にも力を入れ、フェアな価格で取引しながら生産者の生活向上と森の保全を目指しています。次にチョコレートを手に取る際には、こうした背景にも思いを馳せていただければ幸いです。