ママノ代表コラム:2023年もありがとうございました。2024年に向けて。 ママノ江沢孝太朗 2023/12/24

いつも応援ありがとうございます。

ママノチョコレート江沢孝太朗です。

2023年の振り返りを少ししてみようと思います。

 

業務販売

まず、今年は、店舗での販売以外に法人のお客さんへの原材料紹介に力を入れ始めました。

東京ビッグサイトで3つの展示会に出展し、興味を持っていただいたお店や企業にアリバカカオのクーベルチュール、ココア、アマゾンバニラ、アリバカカオ豆、野生クリオロ豆、アマゾンハリナシハチミツ、グアユサ茶といった原材料を販売するようになりました。

ママノとしては、創業時から『笑顔溢れる地球をつくる』ということをテーマにしており、今ではそれが『エクアドルのアマゾン原産食材で笑顔溢れる地球をつくる』に変わってきているのかなと思います。

自社店舗や催事への出店で目の前のお客さんにママノとして商品を提供し喜んでいただくことを大切にしつつ、自社内だけで完結させず、キチュア族の仲間たちが栽培している素晴らしい農作物や原材料を、いろいろなお店や商品に使っていただくようになりました。

 

カカオ

アリバカカオについては、今まではエクアドルの工場で一次加工してカカオマスや73%クーベルチュールチョコレートなどを製造していましたが、今年からは船便でカカオ豆を輸入し、国内の協力工場にてクーベルチュール製造を行う体制になりました。

信頼できるパートナーが国内にいてくれることで、カカオ豆の官能評価、焙煎時間や温度の細かな調整、求める味に向けてのアイデアだしなどをより細かく調整できるようになりました。

森のチョコドロップス58%バニラと、71%アリバとして販売しているクーベルチュールの品質に、その成果が出てきているかなと思います。

アリバカカオそのものの品質向上に関しては、今年発酵日数を6日から5日に短縮し、アリバカカオ本来の華やかな香りをより引き出すべく微調整しました。

野生のクリオロ種については3日発酵から4日半発酵に伸ばし渋みを抑えて、野生クリオロ種特有のラベンダー香を綺麗に食べていただける商品を目指しています。

カカオの収穫時期による風味変化を特に意識してきた1年でもあり、来年は収穫時期を少し狭めて、チョコレートの品質向上を目指します。

 

野生クリオロ種カカオの保全プロジェクト

昨年初めて見つけた野生クリオロ種は、希少な遺伝子を保有していると考えています。今後、現地の大学や研究機関、自然保護基金と協力して、遺伝子分析と結果の解析、そしてコミュニティ全体での保全と収穫量増加に取り組んでいきます。

この地域はアクセスが悪く現金収入が低い地域でもあり、ママノにかかる期待が非常に大きいことをひしひしと感じています。

遺伝子保全も大切、熱帯雨林の保全も大切です。

しかしこれらを支えるのは現地の先住民メンバーの安定した生活です。

法人のお客さん、そして個人のお客さんがママノと共に野生クリオロ種を通じて現地のコミュニティをサポートしてくださることに感謝しています。

野生クリオロ種は、香りに特徴がわり、かつコミュニティも1つだけなので、わかりやすいプロジェクトですが、アリバカカオ、グアユサ、蜂蜜も全て同じ社会貢献性を持っています。

ママノの商品を使ってくださること、買ってくださることは、農家を支え、家族を支え、コミュニティを維持し、自然を守り、地球を守っていくことにつながっています。

 

アマゾンのハリナシハチミツ

ママノハニーは、今年から取り組みをスタートしました。

例えば2023年10月の収穫時は、3種類6リットルの蜂蜜を集めるために11人の農家から蜂蜜を集めています。

ママノの現地代表のウリさんの家でも10箱程度の養蜂をしています。

現在は、メリポナイヨタ種を加えて合計4種類のハリナシバチの蜂蜜を扱っています。蜂蜜はそのまま食べていただくだけでなく、ボンボンショコラのセンターや、パフェにもお使いいただけます。

ママノの全ての商品の特徴であるトレーサビリティの確保は、このはちみつにも適用されており、収穫日、農家、収穫品種、収穫量などの情報をしっかりと追うことができます。

一番少ない農家さんからは、30mlという少量だけ集めることもあります。

体が小さいハリナシバチの蜂蜜は西洋ミツバチ、ニホンミツバチと比べものにならないほど少量の生産です。

エクアドルのハリナシ蜂蜜事業のパートナーであるジェファソンさんは、今年からアメリカの自然保護財団からの支援を受け始めました。ママノもジェファソンさんの自然保護財団とのやりとりを少しサポートしています。

みなさんご存知のように、蜂の自然界への重要性は言うまでもありません。

より豊かな熱帯雨林を育てていくために、ハリナシ蜂蜜事業は来年も力を入れていきたいと思っています。

朝起きた時にひとさじ、夜寝る前にひとさじで、お客さんの健康に役立てていただければと思います。

 

珈琲

今年から、珈琲のサンプル輸入を開始しています。

色々試して、来年はエクアドルアマゾンの珈琲をご紹介できるようになるかと思います。

私個人としても珈琲は大好きです。

カカオ豆とも通じる部分が多く、生豆の評価、環境が風味に与える影響、焙煎、珈琲の抽出など勉強しながら、商品化の準備を進めているところです。ぜひ楽しみにしていただけたらと思います。

グアユサ茶と珈琲で、朝起きた時の一杯を選んでいただけるようになると良いかなと思っています。

 

アマゾンバニラ

エクアドルアマゾンのカヤリ組合から素晴らしいクオリティで独自性のあるバニラオドラータ種を仕入れています。ジェラート、シュークリーム、ケーキ、チョコスプレッド、ボンボンショコラ、タブレットなどさまざまな商品となって、お客さんのもとに届いています。

カヤリ組合のバニラオドラータをサポートするだけでなく、ウィニャック組合のバニラオドラータ栽培もスタートしており、数年後には2つの組合からバニラを調達できるようになる予定です。

農家にとって、単一作物に依存しない構造は重要です。

カカオ、グアユサ、バナナを中心とした収入に、バニラが加わることでよりチャクラ農法で農園を営む農家の生活が安定し、強いコミュニティを作っていくことにつながっていきます。

チャクラ認証

2023年8月にエクアドルのナポ県のチャクラコーポレーションから世界初のチャクラ認証を受けることができました。チャクラ認証は、チャクラ農法という世界農業遺産にもなっているエクアドルアマゾンの伝統的な農法で作られら作物の証明です。

”認証”制度については色々な見方があると思います。

フェアなトレードであることは重要ですし、自然や人権に配慮されていることは当然重要です。ロゴが付いているだけでそれが保証されているとはとても言うことはできません。ロゴのイメージからもたらされる印象と実態が異なるということは往々にしてあることです。

これは、ママノが取得したチャクラ認証についても同じだと思います。

ロゴが付いているだけで人にも自然にもいいんだ、と考えてしまうことは避けた方が良いと考えています。

現地の農家やコミュニティに貢献できているか、自然を守ることに貢献できているかというのは、ものすごく複雑な要素が絡みます。

 

チャクラ認証を取得したことそのものよりも、このロゴを通じてチャクラ農法を知ってもらうこと、お客さんに直接現地とつながってもらうこと、自然を感じてもらうこと、農家やコミュニティを知ってもらうこと、風味の良さと環境のつながりを感じてもらうこと、などが重要であると考えています。

また、チャクラ認証制度開始までの倫理委員会とのmtgも重要な契機であったと思います。

先住民農業組合のメンバー、ナポ県、ドイツの開発機関、NGO、そしてママノチョコレートが企業代表として集まって、この地域が衰退せずに、人にとっても自然にとってもより良い未来を築いていけるように、チャクラ農法を広めていこうと考えて協力してきたこと自体も重要なことだったと思います。

経済活動と社会と地球環境が調和した社会を目指している人々の協力こそが、より良い社会を作っていくと思っています。そして、ママノの法人個人のお客さんとも、ともに取り組んでいければと考えています。

 

森林再生プロジェクトと寄付

ウィニャック組合との森林再生プロジェクトに来年は本格的に取り組みたいと考えています。苗木を育て配布する費用は1本約1ドル、内部研修は20-30名対象で1回150ドル、外部講師による研修は650ドル程度です。

この費用は、寄付を通じて法人個人のお客さんから募り支援していく形態を考えています。

ママノはエクアドルアマゾン原産の食材にこだわっており、全てダイレクトトレードで市場価格の2倍から9倍の価格で購入をしています。寄付ではなく、このカカオ、チョコ、バニラ、グアユサ、蜂蜜といった商品を買っていただくことが、一番重要なサポートであることは強調しておきたいと思います。

継続的に投入されるかわからず、いつどのくらいのサポートが得られるかわからない寄付よりも、農家にとっては、作った作物が毎年安定的に高値で販売できることが最も重要です。また例えば1ドルの支援で1本の苗木といった用途指定の寄付は柔軟性がないことも難点です。農業組合の判断で、その時に最も必要なところにお金を使えることが一番現地組合にとってはありがたいことだと思います。

その意味では、寄付はママノとしてはあくまでオプションに過ぎず、まずは商品を買っていただくことが重要だと考えています。

 

それと同時に、寄付の重要性もあると考えています。

寄付として出した金額が目にみえる形、数字、写真で残るというのはサポートする側にとっては直接現地をサポートしていることが分かりやすく、この分かりやすさも大切なことだと思います。

そこで、上述のように組合への用途指定の寄付と用途を指定しない寄付、またママノへの用途指定しない寄付も募集をする予定です。

商品の購入と寄付の両輪でのサポートも大歓迎です。

 

現地での森林再生プロジェクト自体は、自然保護財団のサポートなどもあり、すでに進んでいます。カカオだけでなく色々な用途の苗木をコミュニティに配布することで、豊かなチャクラ農園を作っていきます。豊かなチャクラ農園は、そこに住む動物、農家の自給自足、農家の現金収入、二酸化炭素吸収など、多面的なメリットを与えてくれることになります。

 

ママノチョコレート代表(株式会社コータロー)

江沢孝太朗