カカオのダイレクトトレードとは。フェアトレードとの違いと価格の透明性
カカオのダイレクトトレードとは、チョコレートをつくる企業が、仲買人や複数の卸を挟まずに、生産者や生産者組合から直接カカオ豆を買い取る取引のことです。ママノチョコレートは2013年の創業以来、エクアドル・アマゾンの先住民の農業組合と直接取引を続けています。この記事では、フェアトレードとの違い、価格の決まり方、前払いという仕組み、そして透明性をどう確保しているかを、代表の私(江沢孝太朗)が書きます。
ダイレクトトレードとは
ダイレクトトレードは直訳すれば直接取引です。言葉そのものには、良い意味も悪い意味も含まれていません。それでもこの取引の形が語られるのは、長いサプライチェーンが生んできた問題があるからです。
私自身は、ダイレクトトレードという言葉より「顔の見える取引」の方がしっくりきます。誰がどこで育てたカカオかが分かる状態を保つこと。私にとってはそれがこの取引の中心にあります。
フェアトレードとの違い
この2つは対立する概念ではありません。指しているものが違います。
DIRECT TRADE
ダイレクトトレード
=取引の経路
仲買人や卸を挟まず、生産者や生産者組合から直接買う。誰が育てたカカオかが分かる状態を保つための仕組み。
FAIR TRADE
フェアトレード
=取引の条件
生産者が生活できる価格で公平に買う。国際的な認証制度もあるが、認証の有無と取引条件の中身は別のもの。
ママノチョコレートは、国際的なフェアトレード認証を取得しているわけではありません。ただし言葉の意味として公平な取引を行っており、カカオは市場価格のおおむね1.5倍から10倍で買い取っています。
ただ、価格だけを見て良い取引かどうかは決められないと思っています。価格は、生産者と長く協力していくための要素のひとつです。前払いの契約をしているか。単年ではなく長期的な取引になっているか。市場価格とのバランスをどう取るか。買った後に品質のフィードバックを返せているか。これらが噛み合ってはじめて、農家にとっても私たちにとっても続けられる関係になります。
認証の有無ではなく、こうした取引の中身がどうなっているか。私はそこが問われるべきだと考えています。
なぜ直接取引が必要だったのか
カカオ産業が抱えてきた児童労働、森林伐採、搾取的な取引という課題は、サプライチェーンが長いために、最終的にカカオを買う企業やチョコレートを食べる人がその実態を認識できない点にも原因がありました。
エクアドル・アマゾンのカカオ農家は市場から遠く、アクセスがよくありません。買いに来る仲買人が少ないため価格交渉力を持てず、非常に安い値段でカカオを売らざるをえない状況がありました。
そこで不公正な取引が行われていたとしても、カカオはその後、一次卸、二次卸、三次卸と売られ、長い距離を移動します。最終的にカカオを買う企業には、それがどこの誰がつくったものか分からなくなっていました。
直接取引に変えると、生産者が利益を得て生活できる金額を、話し合いで決められるようになります。
価格はどう決まるか
カカオの価格は、組合と相談しながら決めています。市場価格と、ほかの国際企業がいくらで買っているかを確認したうえで、できるだけ高い価格で買えるように調整します。
高い価格を設定することには、もうひとつ意味があります。ほかの企業や仲買人が、その買値を参考にするからです。結果として、地域全体の価格に上昇の圧力が働きます。
農家が十分に意欲を持って、チャクラで高い品質のカカオを育ててくれること。そのために価格をどう設定するかが出発点になります。
前払いという仕組み
パートナーであるウィニャック組合は、およそ260世帯の小規模家族農家が加盟する先住民の農業組合です。
収穫と集荷が始まる段階で、組合が農家からカカオを買うための資金を、あらかじめ提供します。これが前払いです。
組合が農家から買い取り、その場で現金を渡せること。これが農家と組合の信頼関係を強め、組合に良いカカオを集めようという動機につながります。
透明性をどう確保しているか
公開されたトレーサビリティシステムを使っているわけではありません。手作業ではありますが、収穫日、農家名、集荷量といったデータを組合から共有してもらい、管理しています。
そのうえで、ウィニャック組合のカカオについては、納品された袋の番号から、産地、ロット、収穫日、コミュニティ、発酵温度を確認できるページを用意しています。カカオ豆を仕入れてくださる法人のお客さま限定で共有しているものです。
いつ、誰が、どこで、どのくらい、いくらで。この情報を常に把握しておくことが、組合とママノチョコレートの信頼、そしてママノチョコレートとお客さまの信頼を支えると考えています。
集荷の設計が品質を決める
直接取引は、価格の話だけではありません。買い方そのものを一緒に設計できることが大きな違いです。
たとえば集荷では、農家にあらかじめ日程を伝え、前日に収穫して指定の袋に入れて待っていてもらいます。収穫から日数が経ちすぎたり、集荷日が農家ごとにばらばらだと、発酵を始めるタイミングがずれてしまい、一定の品質を保てなくなるためです。
コミュニティごとにカカオの性質に違いがあるため、コミュニティを指定して集荷し、風味の特徴を引き出す試みも進めています。
価値が農家に戻る流れ
カカオを使うお客さまから風味の評価を聞き、それを組合に伝えます。組合は改善できる点を日本市場に向けて調整します。その結果カカオ豆が高く評価されれば、価値は農家の収入という形で戻ります。
お客さまとやり取りをして、組合と農家にフィードバックし、より価値の高いカカオを農家とともに生み出す。サプライチェーンを担う企業の役割はここにあると考えています。
チャクラ認証との関係
エクアドルには、チャクラ農法で育った作物や商品に認証を与えるチャクラコーポレーションという機関があります。フェアトレード認証やレインフォレストアライアンス認証に近いものだとお考えください。2023年から正式に始まりました。
ママノチョコレートは、現地の倫理委員会の一員として新たな申請の審査に参加し、最初のパイロット企業として制度づくりにも関わっています。日本では2024年1月からチャクラロゴの認証申請の受付を始め、これまでに7社がチャクラ認証商品を販売しています。
よくある質問
ダイレクトトレードとフェアトレードは何が違いますか。
ダイレクトトレードは取引の経路のことで、仲買や卸を挟まず生産者から直接買うことを指します。フェアトレードは取引の条件のことで、生産者が生活できる価格で公平に買うことを指します。対立する概念ではなく、指しているものが違います。
ママノチョコレートはフェアトレード認証を取得していますか。
国際的なフェアトレード認証は取得していません。ただしカカオは市場価格のおおむね1.5倍から10倍で買い取っており、言葉の意味として公平な取引を行っています。
良い取引かどうかは価格で決まりますか。
価格は要素のひとつです。前払いの契約をしているか、単年ではなく長期的な取引になっているか、市場価格とのバランスをどう取るか、品質のフィードバックを返せているか。これらが噛み合ってはじめて、生産者にとっても買い手にとっても続けられる関係になります。
カカオの価格はどうやって決めていますか。
組合と相談しながら決めています。市場価格とほかの国際企業の価格を確認したうえで、できるだけ高い価格で買えるように調整します。高い価格を設定すると、ほかの企業や仲買人がその買値を参考にするため、地域全体の価格に上昇の圧力が働きます。
前払いとは何ですか。
収穫と集荷が始まる段階で、組合が農家からカカオを買うための資金をあらかじめ提供することです。組合がその場で現金を渡せることが、農家と組合の信頼関係を強めます。
取引の透明性はどう確保していますか。
収穫日、農家名、集荷量といったデータを組合から共有してもらい、手作業で管理しています。ウィニャック組合のカカオについては、納品された袋の番号から産地、ロット、収穫日、コミュニティ、発酵温度を確認できるページを、法人のお客さま限定で共有しています。
直接取引にすると品質も変わりますか。
変わります。買い方そのものを一緒に設計できるためです。集荷日をそろえて発酵開始のタイミングを合わせる、コミュニティを指定して集荷するといった工夫が、風味の安定と向上につながります。
ママノチョコレートのカカオについて
エクアドル・アマゾンの先住民組合から直接買い付けたカカオを、豆のままでも、チョコレートとしてもお届けしています。
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この記事の組合が育てた豆。4日発酵、チャクラ認証取得。
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商品ページを見る価格は2026年9月時点のものです。最新の価格と在庫は商品ページをご確認ください。