シャインマスカットとピオーネ、20年熟成ラムを使用した、全く新しいラムレーズンチョコレートへの挑戦。
こんにちは。ママノチョコレートのストーリーテラー、チョコおたくのカデカワです。
今回は、ママノがめちゃくちゃにおいしい新作を出したってことで、その背景と味わいについて、シェフへのインタビューを交えながら、お伝えしていきます。
ストーリーテラーって?
その企業にとっての大事なストーリー(倫理観、こだわり、想い、etc)を、社内外に伝えるためのお仕事です。口頭で話しているだけでは伝わらない、アーカイブしきれないストーリーを、言語化して適切に伝える役目があります。
コンセプトは「本に合うチョコレート」
きっかけは、代表の「本にあうチョコレートが作りたい」というアイデア。
長編小説や、自分には少し難しい学術書を読んでいるとき。その場を離れたくはないけども、糖分は補給したい。あとリラックスしたいから、少しだけアルコールがあるといいな。手は汚したくないな。そんな気持ちで思いついたのが、そう、ラムレーズンチョコレートでした。
小さなチョコレート屋さんがラムレーズンを作る意味
どうせ作るなら、既存の商品と同じものを作っていてもしょうがない!
とびきり、美味しいものをつくってやろう。
そんな気概を持って生まれたのが、今回の新作「ラムシャインマスカット20年熟成」と「ラムピオーネ20年熟成」です。
干しぶどう、ラム酒、チョコレート。シンプルな3つの材料だけで作られるラムレーズンチョコだからこそ、素材にはこだわりがあるはず。そう考え、ショコラティエの本間さんに、こだわりを伺うことにしました。
——干しぶどうは、どうしてこの2種類にしたのでしょうか。
本間シェフ 大分県宇佐市安心院(あじむ)で作られたドリームファーマーズさんの干しぶどうが、飛び抜けて美味しくて。ぜひ使いたいと思いました。無添加でぶどうの甘みが活かされているところもポイントです。自然な甘みが、アリバカカオのチョコレートとマッチします。
本間シェフ 当初は1種類で考えていたのですが、取り寄せて食べてみたところ、シャインマスカットとピオーネでは、風味にだいぶ違いがありました。実際に試作してみると、シャインマスカットには独特のフレッシュ感が、ピオーネにはラムレーズンらしい重厚感があり、これはどちらも食べていただきたいと思い、2種の販売を決めました。
——干しぶどうは1ヶ月近くもラム酒に漬け込んでいるそうですね。
——ラム酒にはコロンビアのディクタドールというお酒、しかも20年ものを使われていますが、これはどういうお酒で、なぜ使いたいと思ったのでしょうか。
これだけおいしいラム酒を使って、ラムレーズンを作ったらどうなるんだろう、という好奇心が湧きました。
ラムレーズンチョコレートの最高峰
まず驚いたのが、ラムシャインマスカットとラムピオーネは、同じお酒に漬け込んでいるのに、香りが違うこと。シャインマスカットのほうは香りが軽やかかつ、お花のような華やかさ。少しスパイシーさもあります。対するピオーネには、重厚感。甘さを含んだラム酒の香りの奥に、ボディのしっかりした赤ぶどうを見つけることができました。
ラムシャインマスカットが面白いのは、生の果実のようなシャキシャキした食感になっていること。本間さん曰く「ラム酒を漬けたことで水分が戻り、フレッシュな食感が戻っている」とのこと。シャキシャキのラムレーズン、初めて食べます。
味わいは、想像しているものとは全く違いました。というよりも、食べたことがない味わいで、想像できなかった。ラムと干しぶどうにこだわると、ラムレーズンってこんな風味になるのか、と感動します。最後は華やかなアリバカカオがまとめてくれて、アルコールの重さを甘みで優しく包み込んでくれます。
続いて、ラムピオーネを実食。
ラムレーズンらしさはしっかり感じられるのに、知っているラムレーズンとは違う繊細で高級感のある味わい。ラムの風味は、シャインマスカットよりもピオーネのほうが強く感じられました。漬かり具合にも多少の差はあるかもしれませんが、これはラム酒と赤ぶどうであるピオーネの相性によるものではないかと思います。
発案者の江沢さんは、このラムピオーネを「ラムレーズンの概念上の最高峰」、ラムシャインマスカットを「ラムレーズンの概念上にはない、別軸での最高の美味しさ」と表現しています。
美味しそうだけど……お値段するのよね?
はい。価格も気になりますよね。最初に言ってしまいますが、お値段、結構します。
紹介した「ラムシャインマスカット20年熟成」は税込1,800円、「ラムピオーネ20年熟成」が税込1,600円です。内容量は25gで、およそ5〜6粒入っています。
原価がおそろしく高いことや手間を考えても「ラムレーズン」だと思うとちょっと手が出しづらい価格かもしれません。個人的には、1粒200〜300円のボンボンショコラと同じ感覚で買うものだな、と思っています。その理由は、食べていただければわかるはず。これは、わたしたちの知っていたラムレーズンチョコレートではないのです。
枠を超えた商品への挑戦
先ほどの価格の話からもわかるように、今回の新作、かなりぶっ飛んだ商品になっています。ラムレーズンのラムもレーズンも、いい素材にこだわりすぎている、といってもいいくらい。インタビューの最後にシェフから出てきたのは、「あたらしいものを追求したかった」「枠を超えたものを作りたかった」という言葉でした。
最高のもの、最良のものを作りたいけれど、価格は抑えなければならない。作り手であれば、誰でも経験したことがある葛藤ではないでしょうか。お菓子であればなおさらかと思います。材料にどれだけこだわるか。美味しくするための工程にでどれだけ時間をかけていいのか。これはママノの挑戦なのです。