チャクラシステムが世界農業遺産に認定されました。国連食糧農業機関(FAO)が認定機関。
国連FAOが認定する世界農業遺産に、2023年2月エクアドルアマゾンのチャクラシステムが認定されました。(アンデス地域も)
ママノは、「チョコレートで笑顔あふれる地球をつくる」ことを目標に掲げ、2013年からエクアドルのアマゾン地域の先住民(キチュア)組合とパートナーシップを締結し、伝統的なチャクラ(伝統的なアグロフォレストリー農法)で育ったカカオやグアユサティーを輸入し、日本にてチョコレート等の製造販売を行っています。
ママノが扱う全てのチョコレート及び、グアユサティー、レモングラス、エクアドルシナモン、バニラビーンズといった、現地組合から直接輸入している作物は、チャクラシステムによって栽培されており、チャクラが世界農業遺産に認定されたことをとても嬉しく思います。
チャクラは、先住民キチュアの人々が長年培ってきた伝統的な農法であり生活様式です。
Globally Important Agricultural Heritage Systems: Two new sites recognized in Ecuador’s Andes and Amazon regions
世界の重要な農業遺産システム:エクアドルのアマゾンとアンデスの2地域が新たに認定されました。
(以下全て日本語訳 江沢)
ローマ発-エクアドルのアンデス山脈とアマゾンにある2つの生物多様性に富んだ農業・アグロフォレストリー・システム(チャクラ)が、国連食糧農業機関(FAO)から世界重要農業遺産(GIAHS)に認定されました。
今週(2月13日〜16日)開催されたGIAHS科学諮問委員会のオンライン会議において、地域が指定されました。選定基準では、食料と生活の安全保障、固有の農業生物多様性、先祖代々の知識体系、社会的価値や文化、優れた景観を支える世界的に重要な場所であることが規定されています。
エクアドルのチャクラは、先住民族の集合的な活動によって広がり、何世紀にもわたって天然資源の持続可能な管理と食料主権を確保してきました。「チャクラの80%は、地元でチャクラママと呼ばれる先住民族の女性たちによって管理されており、彼女たちは貴重な伝統的知識を用いて、これらの場所の動的保全、持続可能な利用、日々の運営に取り組んでいるからです」とFAO事務局次長のマリア・ヘレナ・セメド氏は述べました。
今回の世界農業遺産登録により、FAOの世界農業遺産ネットワークは、世界24カ国、74のシステムで構成されることになりました。
伝統的な農業システム
キチュワ先住民のアンデス・チャクラは、アンデス山脈のコタカチ山脈の標高2500~3400mに位置し、気候、生態系、農法、生物多様性の統合と相互連携が特徴です。
チャクラは、キチュワ族の家族やコミュニティにとって物質的・象徴的な生活の発展の中心であり、美食、医療、儀式を含む豊かな先祖の知識によって支えられています。この地域は、エクアドルやアンデス地方で最も大きく、最もよく保存されている農業生物多様性地帯のひとつと考えられており、ユニークな作物の多様性を保存するための鍵となっています。
標高の異なる山の台地を利用して、異なるニーズを持つ種を栽培し、食料安全保障と主権、栄養、薬、装飾、燃料、飼料に貢献するとともに、文化的利用、手工芸品や道具の生産にも寄与しています。コタカチでは、このシステムによって、トウモロコシ、豆類、キヌア、ジャガイモなどの種や品種の生息域内保全を可能にしてきました。これらは主にコミュニティの自家消費用です。しかし、わずかな余剰分は家族の収入源として販売され、コミュニティにとって重要な生計手段、女性にとっては経済的エンパワーメントと自立の手段となっています。
アンデスの先住民キチュワ族は、環境との関係から認知システムを生成しており、それはキチュワ族の言葉で「パチャママ」と呼ばれます。この総合的な知識は、世代から世代へと受け継がれ、ユニークで生きた体系となっている。そしてそれは、家族、コミュニティ、文化的な生活のために、地域の生態系を利用し、持続可能な管理をするための記号、シンボル、概念、認識を含んでいます。
持続可能なアグロフォレストリー農法の土地利用モデル
アマゾンのチャクラは、農園内にある生産的な場所を、有機的かつ生物多様性に富んだアプローチで家族によって管理し、人々に複合的なサービスを提供する、持続可能なアグロフォレストリー土地利用モデルです。
ここでは、キチュワ族とキジュ族が、木材、果物、薬用、手工芸品、食用、観賞用の種や、狩猟、木材や非木材森林製品などの他の活動とともにカカオを栽培するポリカルチャー作物システムを発展させてきました。アマゾンチャクラは、空間的なデザインのパターンを持ち、時間的な管理サイクルに明確な段階を設けており、アマゾン生物群内の森林の遷移や回復の自然プロセスを模倣しています。
アマゾンの肥沃度の低い土壌を効率的に管理することを目的としたこのシステムは、森林と流域管理の統合という点でユニークであり、コミュニティは日陰と土壌を確保するために一連のアグロフォレストリーの配置と実践を行っています。この20年間、小規模農家が気候変動や経済・市場の変化に強い農業を実現できる可能性があるとして、この概念への関心が高まっています。
アマゾンは長い間、未開拓で利用されていない地域と定義されてきましたが、実際には数千年前から農業が発展し、無数の熱帯雨林の品種が栽培され利用されてきたという事実を踏まえている。唐辛子(Capsicum spp.)、豆(マメ科)、キャッサバ(Manihot esculenta)、サツマイモ(Ipomea spp.)、トウモロコシ(Zea spp.)、カカオ(Theobroma spp.)やブッシュカカオ(Herrania spp.)など。
これらによって、キチュワ族のコミュニティは、持続可能な活動や生態系と調和した生活様式を通じて、まさに熱帯雨林の守護者となっています。生物多様性、森林、言語、伝統的知識を保護し、地球規模の気候変動に立ち向かうための緩和、適応、回復の取り組みにおいて、先住民族が果たすべき役割は大きいことが広く認識されています。
ママノはエクアドルに1名在住メンバーがおり、先日「チャクララベル」の認証機関にも招待をいただいています。
参考)
ママノチョコレートは新たにエクアドル熱帯雨林地域の特別な農法の証明である『チャクララベル認証』の倫理委員会の一員となりました!
3月25日には、ドイツのGIZとWWFエクアドルのメンバーでチャクラ認証機関のメンバーを招いてチャクララベルとは何か、というセミナーも行う予定です。ぜひご参加ください!
参考)
オンラインセミナー:エクアドル熱帯雨林の先住民組合の生産物に付与される『チャクラ証明書』とは何か、ママノが参加する理由とは
“世界農業遺産(GIAHS)とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域(農林水産業システム)であり、国際連合食糧農業機関(FAO)により認定されます。“