
SUNNY CHOCOLATE伴野さんインタビュー -子供と大人が一緒に楽しめるチョコレート- byママノ江沢
こんにちは!ママノ江沢です。
2024年創業「SUNNY CHOCOLATE」の伴野さんにお話しを伺いました!
サニーチョコレートではママノのウィニャック組合のアリバカカオを使っていただいています。商品名は「花」です。東京都墨田区にお店兼工房を構えており、子供向けのチョコレートワークショップも多数実施しています。企業やお店からの製造委託も行っており、オリジナルチョコレートを相談することもできます。
お店の棚にはチョコレートに関する本がずらり。ダンデライオン、ゴディバなどチョコレート業界に長くいる伴野さんのチョコレート作りの秘密を聞いていきます。
SUNNY CHOCOLATEホームページ
https://sunnychoco.base.shop/items/all

聞き手:江沢(ママノチョコレート)
話し手:伴野さん(SUNNY CHOCOLATE)
アマゾンアリバとの出会いと低温焙煎
江沢「まずはエクアドルのアマゾンアリバ豆を選んでくれたきっかけと、特徴的な低温焙煎の製法について教えてください。」
伴野「イマリブチョコレートさんのRAWチョコ(ママノのアマゾンアリバ使用)が美味しくて、これでチョコレート作りたいと思ったのがきっかけです。火を入れない方が美味しいなぁと思いました。強い酸味がなくて、花っぽい香りだからローストで飛びやすいと思っていました。
温度帯は85度、90度、94度などで実験してみました。93度11分とか時間も変えて。90度11分の短時間の浅煎りだとシナモンっぽい癖が出てきてしまったんですよね、ローズティーっぽい感じというか。85度15分でテストしてみた時にすごく美味しくて、でもまだロースト感が少し強いかなと思い13分くらいでもいいかもと思いました。今は85度13分に落ち着いています。」
江沢「焙煎テストはどんな風に行うんですか?」
伴野「温度はハイロースト、ミドル、ローローストの3つを試して、時間は長め、真ん中、短めでテストしていってだんだんあたりをつけていくイメージでテストします。」
江沢「焙煎中に気をつけていることは?」
伴野「Behmorの焙煎はオートマだと狙っている時間よりも超えてしまうから焙煎中は付きっきりで作業します。温度を上げたり下げたりして、オーブンは開けません。豆を焼き始める前は、ママノさんから買う豆の場合は綺麗だから基本そのまま焙煎を開始します。他の豆も同様で、顔の見える方から購入したカカオ豆で選別してくれたものを買っています。」

カカオ豆は使い切る
江沢「ウィノワー(カカオ豆の殻を剥がす工程)の工夫は何かありますか?」
伴野「最初にカカオニブ(チョコの元)を出して、ハスク(殻)側から使えるニブをできるだけ取り出します。大事なカカオニブを取り切るため、4、5回ウィノワーに通して時間をかけて作業をしています(笑)。『花(エクアドル)』は特に(香りが)繊細なので、なるべくハスクが入らないように注意しています。アリバは皮剥がれ良いです。」

お砂糖を入れるタイミングで風味が変わる
江沢「では次にメランジャー及びコンチング(粉砕、精錬)について教えてください。」
伴野「メランジャーは、まずお砂糖入れる時間を決めます。アリバカカオの試作の時は、メランジャーにカカオニブを投入してからお砂糖を1時間後に入れて食べてみて、まだ渋みがあるなぁとか酸味があるなぁと思ったので2時間後に投入することにしました。」
江沢「お砂糖を入れるタイミングで何が変わりますか?」
伴野「カカオニブだけでメランジャーを回しておくことで、酢酸とか渋みとかは飛んでいくんですけど、お砂糖投入後は、お砂糖が香りを吸着固定するので香りは飛びにくくなるんです。だから嫌な渋みや酸味がある時はニブだけで回す。でも同時に良い香りも飛んでいってしまうから回す時間が重要です。合計で24時間ほど回していて、営業時間中だけメランジャーを稼働させて、営業時間外は保温庫で溶けた状態で保管しておいてます。」
カカオ豆の違い
江沢「豆によってどんな違いがありますか?」
伴野「粘度はカカオ豆によってかなり違います。(メランジャーでチョコと回している時のもったり感、サラサラ感のこと)『空(ボリビア)』は粘度が今回は高いなーとか、『音(ベトナム)』はロットごとに別物くらいの味になることもあります。」
江沢「豆を選ぶ基準は?」
伴野「ママノさんみたいに、日本人の人でカカオに関わっている人から豆を買いたいと思っています。ボリビアはボリビア人の人から買ってますが(笑)」

「花」に合うドリンク
江沢「『花(アリバ)』はどんな風に食べたら美味しいですか?」
伴野「花は日本酒に合うと思いました。フルーティな食中酒にもあいます。」
江沢「花からほのかに感じる発酵由来のフルーティが日本酒とつながるイメージですね。」
伴野「あと、ハーブティーにもすごくよく合います。ハーブティーのお花っぽい香りがチョコレートと繋がります。」

野生ホワイトクラレイ
※ママノチョコレートの赤坂見附の店舗で販売する商品として、サニーチョコレートにクラレイ種カカオの板チョコの製造を依頼しています。以下、製造中に聞きました。
江沢「クラレイ種は今回触ってみて印象はどうですか?」
伴野「生(焙煎前の乾燥カカオ豆)で食べてもびっくりしたけど、ローストしてみてもさらに香りがでました。ウィノワーをかけてる時も香りがあります。アリバはお淑やかで上品な花の香りだけど、クラレイは自己主張が強くて、バラっぽい、香水っぽい感じです。」
SUNNY CHOCOLATEの展望
江沢「サニーチョコレートでは、どんなチョコレートを作ろうとされていますか?」
伴野「子供と大人が一緒に楽しめるチョコレートです。大人がこっそり食べる楽しみの複雑の味わいというよりは、子供も食べて美味しいクラフトチョコレート。みんなで分けて食べやすいかなと思って、板チョコも5gの小さなサイズにしています。でも、『花』はちょっと玄人向けですね(笑)」
江沢「前職と、今の大きな違いはなんですか?」
伴野「小ロット製造であることが一番違います。味が濃く出て、輪郭がくっきりします。あと、産地を選べるのは大きいです。3種類の産地を今は扱っています。」
江沢「次の展開は?」
伴野「産地は3種類で落ち着いていて、新しい産地を扱うとしたら限定品になるかなと思います。3種類のカカオをブレンドして、ブランドのシグネチャー(目玉・顔となる商品)を作っても良いかなと思ってます。ブランドを象徴するものにして、その時には『晴』という名前をつけたいと思います。」
江沢「今考えている商品は何ですか?」
伴野「能登の復興支援の意味を込めて、能登の塩チョコを今は準備しています。エクアドルの『花』をベースにしています。酸味のあるカカオだと、梅干しっぽくなってしまうのでエクアドルが合いました。」
お客さんからの評価が自信に
江沢「立ち上げてから今までの手応えや感想は?」
伴野「2025年8月時点で創業して1年半くらいですが、意外とのんびりです。ダンデライオンチョコレート(前職)での勤務経験は7年くらいですが、ビーントゥバーの製造自体は最初の半年くらいで、アメリカにも研修に行かせてもらいました。
サニーチョコレートを始めてからは意外とお客さんの評価も良くて、受け入れてもらっているので自信になりました。ワークショップも好評です。創業時は豆選びも初めての経験で、選ぶ基準も初めはわからなかったので苦労しました。」
江沢「お客さんの言葉、反応で嬉しかったことはありますか?」
伴野「チョコレートそれぞれの味が全然違ってわかりやすいとか、輪郭がはっきりしていて美味しい、と言ってくれるのが嬉しいです。産地も3種類だからわかりやすくていいんだと思います。」
江沢「これまでに行った産地はどこですか?エクアドルに行ったらやりたいこと、みたいものはありますか?」
伴野「今まではホンジュラスとドミニカとタイに行きました。長靴とか持っていって長いつなぎを着て歩き回りました。エクアドルに行ったら、発酵箱を混ぜたいですね。」

インタビューを終えて
チョコレートの味わいは、作り手によって大きく変わります。同じアリバカカオでも、出来上がるチョコレートは作り手によってまったく違う体験となります。
SUNNY CHOCOLATEのチョコレートが綺麗な風味である理由は、良い豆を選んだ上でウィノワーで何度もハスクをとる努力をしているから。
アリバカカオのフレッシュな発酵感を残しながら重層的で華やかな香りを感じるのは、低温の短時間焙煎で生豆の風味を生かしつつ、メランジャーでの砂糖投入ポイントや回す時間を見極めて作業しているから、ということを教えていただきました。皆さんにも、ぜひSUNNY CHOCOLATEに足を運んでいただいて、チョコレートを味わっていただきたいと思います。
ママノ江沢
SUNNY CHOCOLATEホームページ
https://sunnychoco.base.shop/items/all