インタビュー:エクアドルを味わい尽くす!Tatsunori Satoシェフショコラティエ佐藤さんが語る、エクアドルカカオの魅力と新商品構想。

インタビュー:エクアドルを味わい尽くす!Tatsunori Satoシェフショコラティエ佐藤さんが語る、エクアドルカカオの魅力と新商品構想。

エクアドルを味わい尽くす!Tatsunori Satoシェフショコラティエ佐藤さんが語る、エクアドルカカオの魅力と新商品構想。

三鷹にあるChocolate Timesのシェフショコラティエ佐藤辰則さん。自身のブランドTatsunori Satoでの表現だけでなく、受諾製造を手がけるChocolate Timesとして多くの有名ブランドからチョコレートの製造を任されています。

ママノからは、生チョコレートやカードチョコレートの製造を依頼しています。また、ママノの原材料である森のチョコドロップス71%クーベルチュール、アマゾンバニラ等を自身のブランドの材料として活用してくれています。

4月には共同代表でショコラティエの小清水(ワールドチョコレートマスターズ日本代表)さんとともにエクアドルのカカオ視察にも参加していただきました。

今回は、ママノ江沢が、佐藤シェフの新たな挑戦とエクアドルの素材へのこだわりについてのインタビューを行いました。

旅の記憶を一箱に。「エクアドル体験BOX」構想

 

江沢: 本日はありがとうございます。早速ですが、新商品の企画についてお聞かせください。エクアドルの素材をふんだんに使った、特別なチョコレートBOXを構想中だと伺いました。

佐藤: はい、この大きい箱(Tatsunori satoのボックスを見せてくれている)を使おうと考えています。自分のエクアドル視察での体験をお客様に届けたいという想いから、特別なボックスを考えています。

江沢: この箱にどういった形で詰めるのですか?

佐藤: ここにボンボンショコラを8粒、そして空いたスペースにマカンボジャングルピーナッツ、オレンジ、バナナなどのチョコがけをセットにする予定です。

ボックスの下に敷く紙には、今年の旅の記憶を表現したイラストなどを入れて、箱を開けた瞬間からエクアドルの世界観に浸れるような仕掛けを考えています。

「お客様もエクアドルの旅を楽しむ気分で味わってね!」というメッセージを込めたボックスにしたいんです。

江沢: いいですね!お客様に手に取ってもらうための工夫は何か考えていますか?

佐藤: はい、まずは味を知ってもらうことが大事なので、例えばボックスに入っているボンボンを単品でも販売してみようかと考えています。そこで味を確かめてもらって、「この一粒が8種類も入って、さらに他のチョコがけも楽しめるならお得だ」と感じてもらえたら嬉しいですね。

 

「群を抜いたアロマ」 佐藤シェフを魅了するエクアドルカカオ

 

江沢: ボンボンの主役はエクアドル産カカオになると思いますが、佐藤シェフが感じるエクアドルのアリバカカオの魅力とは何でしょうか?

佐藤: やはり「圧倒的な香りの豊かさ」ですね。他のシングルオリジンカカオが持つ酸味や苦味といった特徴とは別に、エクアドル産カカオは「群を抜いてのフルーティーさとアロマ」があります。

誰が食べても好き嫌いなく「美味しい」とお勧めできるのが、エクアドルカカオだと思っています。

江沢: その特徴を、商品開発ではどのように活かしているのですか?ガトーショコラにも使われているんでしたっけ?

佐藤: はい、ガトーショコラにも使っています。特に特徴的なのは「フローズンショコラドリンク」ですね。

普通、冷たいドリンクにするとカカオの香りは感じにくくなるのですが、アリバカカオ(エクアドル産カカオの代表品種)は冷やしても独特の華やかな香りがしっかりと感じられるんです。お客様からも「こんなフローズンドリンクは初めて飲んだ!」と驚かれることが多く、その反応が嬉しいですね。

新たな発見!「マカンボ」と「ジャングルピーナッツ」の可能性

 

江沢: 新しいボックスには、マカンボジャングルピーナッツも入るのですね。現地で試食されてみて、いかがでしたか?

佐藤: マカンボは、個人的には少し「キノコ」のような面白い風味を感じるんです。その個性をどうチョコレートとのマリアージュで活かすか、今から楽しみですね。

そして、ジャングルピーナッツのキャラメリゼチョコがけ(ママノから製造を依頼して9月に販売する商品)は作ってみましたが……もう、めちゃくちゃ美味しかったですね。

ミルクチョコレートだけでなく、ダークチョコレートとの相性も抜群でした。カカオの風味をしっかり効かせつつ、少しスパイスを加えても面白いかもしれないと考えています。

「美味しい」だけでは売れない。佐藤シェフ流、ブランドの作り方

 

江沢: 昨年のバレンタイン催事では、佐藤シェフのブースが大盛況だったと伺いました。

佐藤: ありがたいことに、良い評価をしていただきました。最近のバレンタイン催事では、チョコレートの価格高騰の影響もあって、サブレのような焼き菓子で売上を作るブランドさんが多い中で、うち(Tatsunori Sato)はボンボンショコラが主力でした。ボンボンショコラは売れにくくなってきているらしいのですが、多くのお客さまに手に取っていただきました。

江沢: すごいですね!成功の要因は何だったのでしょうか?

佐藤: 「日本酒」を使ったボンボンが、今までそのジャンルに興味がなかった新しい層にまで届いたようです。うちの「風の森」のボンボンなどが若い方にも響いたようです。

江沢: その成功の裏には、どんな哲学があるのでしょうか?

佐藤: 一つは「見せ方(パッケージ)」です。昔のように「美味しいものを作れば売れる」という時代ではない。

まずは「可愛い」「お洒落だ」と手に取ってもらえなければ、スタートラインにも立てません。なので、僕はイラストレーターさんなど、あえて異業種の方と組むことで、新しい見せ方を常に模索しています。

そしてもう一つは「味の複雑さ」です。例えば一つのボンボンを作るのに、5〜6種類のチョコレートをブレンドすることもあります。合わせるお酒の特徴に合わせて、チョコレートの配合をグラム単位で調整していく。そのこだわりが、お客様にも伝わったのかもしれません。

江沢: そのこだわりと実績があるからこそ、最近では他のブランドからコラボレーションの依頼も多いのではないですか?

佐藤: はい。「地元のこのお酒とチョコレートを組み合わせて商品を作ってほしい」といったご依頼が少しずつ増えてきました。日本橋三越さんやそごう大宮さんでのペアリングイベントのお話もいただいています。自分の技術が、地域の活性化などに繋がっていくのであれば、これほど嬉しいことはありません。ショコラティエとして10年以上やってきて、少しずつ形になってきたなと感じています。

エクアドルの魅力全開のチョコレート、楽しみにしていてください!


【インタビュー後記】

4月に1週間エクアドルで野生カカオを探すジャングルウォークを共にした佐藤さんが、旅の体験を届けるエクアドルボックスを構想されているとのこと。

旅の物語、チョコレートの表現、洗練されたデザイン。

そのすべてが融合して、チョコレートは単なるお菓子から特別な「体験」になります。

「エクアドルBOX」今から楽しみです!

ママノ江沢


Moka Chocolate、株式会社ChocolateTimes
東京都三鷹市牟礼7-1-35 1F

Tatsunori Sato
奈良県御所市御堂魚棚町1163